JAの活動:緊急企画:JA対話運動~コロナ禍での協同~
役員の訪問活動・広報をフル活用 JAむなかた(福岡県)【JA対話運動】(上)2020年10月12日
福岡県のJAむなかたは、役職員による訪問と多様な広報を駆使し、JAの事業および自己改革に対する理解を深めている。今回のJAグループによる「JA自己改革に関する組合員アンケート」に、その成果がはっきり現れており、JA改革の取り組みを役職員から直接聞いたという回答者の比率が高い。特に農業者の所得増大、農業生産の拡大に関して、きめ細かな支援を行っていることが、JAへの高い支持につながっている。
改革PRで認知度向上 多様な媒体でもれなく
農家を訪問し、話を聞く小島組合長(右奥)
JAむなかたは平成30年の5月から、毎月第2土曜日を「活動日」に設定し、組合員訪問活動を展開している。常勤役員は認定農業者、営農振興部職員は正組合員、一般職員は准組合員と、それぞれ分担を決めているところに特徴があり、1組合員に対して2度訪問を行った。
同JAの組合員は、令和元年度末で2万3025人。うち正組合員は2866人で准組合員は2万159人。訪問では、JA合併40周年を迎えたことの感謝を伝えるとともにJAが自前で作成した正組合員、准組合員用のパンフレットやチラシを配り、JAが取り組んでいる自己改革の内容を伝えた。2度目の訪問は12月5日から平成31年3月まで実施し、改めて自己改革の意義と、同JAの取り組みを周知徹底するとともに、この訪問に合わせて、JAグループが全国で展開した「JA自己改革に関する組合員アンケート」を実施した。
「訪問による組合員との対話は農協運動の基本であり、組合員調査はその一環として取り組んだ」と、同JAの小島信昭組合長は言う。同JAにとって組合員調査は、従来から実施している訪問活動の延長というわけだ。2度の訪問が終った後も、役員は日常的に訪問を行っている。当然ながらLA(ライフアドバイザー)も営農指導員も日常の業務として訪問活動を行っており、正組合員に対しては、全職員に隔月訪問を呼びかけている。
同JAの認定農業者は約170人。組合長、専務、二人の常務を合わせて4人が担当して訪問。小島組合長は「10分、20分のつもりで立ち寄っても、話し込むと1時間以上になることもある。役員が自ら訪問することで、組合員との距離が近くなってJAに対する組合員の認識が変わり、さまざまな悩みや課題を話してもらえるようになった」と、役員が訪問する効果を強調する。訪問活動は職員にも刺激になっており、「訪問活動で職員の営業力がつく。話の材料を自分で引き出す能力がついた」と中村徹也専務は評価する。
今年11月から稼働するいちごパッケージセンター
きめ細かく営農支援
こうした組合員の声は、取捨選択してJAの事業に反映させる。それがJAの営農経済事業改革につながる。同JA管内の宗像市と福津市は福岡市と北九州市の中間に位置し、両市の通勤圏として大型住宅団地ができている。准組合員が正組合員の7倍を占め、組合員数だけみると「都市型JA」のタイプに入る。
だが、同JAでは米・麦・大豆を中心に、無霜地帯の温暖な気候を生かした野菜の栽培が盛んで、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどの露地栽培の産地として知られる。産直部会を含めて18の作目別の組合員部会があり、買い取りを含めた同JAの農産物販売額は25億円を超える。自己改革は農業者の所得増大によって、農業生産額を拡大することをめざしたものだ。
その一つが利用施設の再編・整備、新設。旧くなった二つカントリーエレベーターの統合・新設を進めている。さらに今年度秋から本格稼働のいちごパッケージセンターを新たにつくった。大型予冷庫を備えた大規模な施設で、管内で生産される全農産物への対応を視野に、付加価値を高めて有利販売をめざす。
このほか、組合員から要望のあった肥料の価格引き下げや、県域で集約可能な肥料や農薬のロットを大きくすることで農業生産資材のコスト削減にも挑戦。さらに高品質米生産支援奨励制度、暗渠排水の改修事業、イチゴの品質と収量向上のための炭酸ガスハダニ殺虫システムの導入、地元農産物の買い取り販売などを行う農産物直売所の店舗拡大など、生産・加工・販売の多岐にわたる支援を行っている。
特に暗渠排水は、JAが事業主体で実施するのは県内で初めて。老朽化した暗渠を改修し、20年、30年先まで農業の生産基盤を維持しようというもので、同JAの中・長期的な農業振興への姿勢を示している。事業を始めて3年目、約50haの改修を終えた。
20年、30年先を見越した暗渠改修
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