JAの活動:緊急企画:JA対話運動~コロナ禍での協同~
「推進」から「相談」へ 悩み解決に事業活用 JAぎふ岩佐哲司専務【JA対話運動】(1)2020年11月30日
JAグループは「JAの自己改革に関する組合員調査」を組合員との対話の機会としてとらえて実施した。いま、新型コロナウイルスの影響で、訪問による対話運動は難しいが、協同組合にとって、多様な組合員の思いやニーズに応えることの重要性は、これからも変わることはない。
10万人超の組合員を有するJAぎふは、2018(平成30)年度に3回の全戸訪問を実施して組合員の悩みや意見を聞いた。それをJAの事業に生かすことで、「対話」を職員の「やりがい」「働きがい」につなげることを目指す。同JAの取り組みを岩佐哲司代表理事専務に聞いた。
年3回、8万戸訪問 職員も手応え
ファシリテーション力を高める階層別職員研修
全ては組合員と共に
JAぎふ 岩佐哲司専務JAぎふが2019(令和元)年度から取り組んでいる第4次中期経営計画では、「すべては組合員とともに」のメインテーマを掲げた。「組合員の悩みごとの相談に乗り、総合事業を通じて解決し、組合員とともに『豊かで暮らしやすい地域社会』を目指す」と、テーマの意義を述べている。
そのための事業展開の基本姿勢について岩佐専務は、「推進から相談への切り替え」と説明する。つまり、従来のような数値目標重視の事業推進ではなく、組合員の悩みごとを聞き、それをJAの総合事業を通じて解決するとともに、それをJAの事業に結び付けようというものだ。その上で「組合員と地域から必要とされるJAの確立」をめざす。
この方針の基礎になるのが2018年度から取り組んできた全役職員による組合員戸別訪問だ。同JAの役職員約1100人が、正・准組合員を合わせ約10万2000人、8万戸を戸別訪問し、対話を重ねてきた。このほか、役員による認定農業者訪問、支店長・次長、LS(ライフサポーター)などによる、JAの利用量の大きいSランク 以上の組合員や准組合員が多い住宅ローン先への訪問も行っている。
2018(平成30)年7、8月の第1回の訪問を皮切りに、同年11、12月、19年1~3月と、18年度内に3回実施した。1回目は合併10周年を迎えたのを機会に、組合員であることの確認を行い、2回目はJAや自己改革についての説明、3回目はJAグループが実施した「JAの自己改革に関する組合員調査」を兼ねて、JAぎふに対する期待や意見を聞いている。
それぞれの訪問による面談率は8割を超え、JAぎふが実施した同調査のアンケートは、回収率84・1%の高率に達しており、職員の問題意識と熱意の高さを示している。訪問で得た組合員の悩みごとや意見は、当該部署で検討し、事業に落とし込む。
戸別訪問による対話活動について岩佐専務は「どのような組織も同じだが、協同組合も一度組織ができると、組織や事業を通じて組合員に接するようになる。これではいかん、最初に組織ありきではなく、もっと組合員一人ひとりと向かい合い、そこで得た合意を大きくすることが重要だと考えた」と言う。
合併以前は、同JAも事業推進では実績を重視にしてきた。
合併から10年経って、数値目標必達のムードはできたが、半面、「協同組合とは何かという意識が忘れられているのでは」と感じた。そこで第4次中期経営計画(2019~21年度)では、「推進から相談」へと、基本路線を切り替えた。「信用・共済でも、なるべく数字の話はしないようにしている。もし以前の体制に戻すと、短期的にはいいかも知れないが、いま協同組合とは何かが問われているなかで、そこは譲れないところだ」と強調する。
訪問で員の意識に変化
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