若者に「田園回帰」の動き 26年度農業白書2015年5月26日
政府は5月26日の閣議で26年度「食料・農業・農村白書」を了承した。巻頭特集では「人口減少社会における農村の活性化」と3月に閣議決定した新たな基本計画を取り上げている。
白書では冒頭に農村の人口と高齢化の推移の見通しをグラフで示し、農村では今後、地域活動を担っていた高齢者の人口も減少に転じるとして、「地域の特性に応じた新たな農村の将来像を描きコミュニティの維持・活性化や生活関連施設の再編等の取り組みを推進する必要がある」と指摘した。
一方で都市に住む若者を中心に豊かな環境や新たな生活スタイルを求める「田園回帰」や、定年退職を機に農村に定住しようとする動きが見られることに着目した。
白書は昨年8月公表の「農山漁村に関する世論調査」を分析し、都市住民の31.6%が農山漁村地域に定住してみたいと答えており、その割合は17年度調査の20.6%より増えていることを指摘した。とくに20歳代では定住願望が「ある」18.4%、「どちらかというとある」22.8%で合わせて47.3%と高いことが示され若い世代に新しいライフスタイルを求める価値観が芽生えていることがうかがえる。
また60歳代では「あるに」が16.3%で20歳代に次いで多く、定年退職を契機とした農村への定住志向がみられると白書は指摘している。女性は全般に男性より田園回帰志向が低いものの、30歳代と50歳代で比較的高い定住願望がみられる。 こうした動きをふまえて、白書は農村の活性化・持続的発展のためには外部人材や女性の力を活かした地域資源の活用や、ビジネスを起こして地域の課題解決に取り組む動きなどを取り上げ、地域全体でのコミュニティの維持・強化が必要になっていることを指摘した。 事例とした島根県邑南町が「日本一の子育て村」をスローガンに掲げ、徹底した移住者ケアや地元の食文化を積極的に発信する取り組みなどによって、150人の定住者を受け入れ平成25年度には人口の社会増を実現したことを紹介している。
また、鹿児島県志布志市はピーマンの指定産地だが、高齢化の進行で栽培面積が減少したため、新規就農者支援に取り組んだ。栽培面積は回復するとともに、農協部会員の7割を新規就農者が占めるようになり、担い手の世代交代を実現した例も取り上げられている。
(関連記事)
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