下期もマイナス成長 追加の金融緩和想定 農中総研経済見通し2019年11月25日
農林中金総研は11月19日、2019~20年度改訂経済見通しを発表した。それによると、消費税引き上げ後の駆け込み需要の反動減もあり、19年度下期は2期連続のマイナス成長になるとみている。このため追加の金融緩和を迫られる可能性もあると指摘している。
2019年7~9月期の実質GDP(国民総生産)は、消費、企業設備投資など民間最終需要に加え、公的需要が底堅く推移したが輸出や民間在庫の減少によって相殺され、ほぼゼロ成長だった。
10~12月期は、消費税引き上げの反動のほか輸出の減少傾向が残ることからマイナス成長に転じ、続く1~3月期もマイナス成長の見通し。この結果、19年度の経済成長率は0.6%、20年度は、潜在成長率を割り込んで0.4%を見込む。
一方米中通商協議で、一部合意の動きがあるほか、世界的な半導体関連需要の持ち直しが続くことで、20年前半にかけて世界経済、貿易の回復が期待される。また東京五輪・パラリンピック開催などで景気の盛り上がりも見込まれ、全体に緩やかに持ち直すと予想される。経済・物価の下振れリスクが高いなか、日本銀行は現行の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を続ける予定だが、19年度下期には追加緩和を迫られる場面も想定される。
なお当面の長期金利は、日銀の追加緩和観測は根強いが、過度の低下を抑えるため、今後とも国債買い入れオペの調整を行うとみられ、マイナス0.1%前後での展開が続く。株価は国内景気・企業業績の悪化が見込まれるなか、米国の株価に牽引されて高値推移しているが、リスクオフが強まる場面で調整色が強まる可能性が強い。為替レートは内外の中央銀行の緩和観測がひろがるなかで、欧米の中銀に比べて日銀の追加緩和余地は乏しいとみられており、リスクオフが強まる場面では円高圧力が高まる見通し。
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