田んぼの〝厄介者〟 手賀沼のコブハクチョウ2020年5月29日
湖沼の水面に浮かぶハクチョウは見る人の目を楽しませるが、「都心から最も近い天然湖沼」と言われる千葉県の手賀沼周辺の農家は、いまコブハクチョウによる稲の食害に泣かされている。
植えたばかりの稲を食べる手賀沼のコブハクチョウ
湖沼の水面に浮かぶハクチョウは見る人の目を楽しませるが、「都心から最も近い天然湖沼」と言われる千葉県の手賀沼周辺の農家は、いまコブハクチョウによる稲の食害に泣かされている。
千葉県柏市と我孫子市にまたがる手賀沼周辺の干拓地の水田では、ほぼ田植えが終わり、農家はほっと一息入れる時期だが、コブハクチョウの追い出しという余分な作業を余儀なくされている。
コブハクチョウは今が繁殖期で食欲旺盛。植えたばかりの水田は格好の〝えさ場〟になり、場所によっては10羽くらいのコブハクチョウのグループが盛んに稲の葉をついばんでいる。
水田面積の大きい柏市では、今年の被害状況を調査中だが、毎年5~6㌶の水田が被害を受けている。殺処分もできないため、追い出すしかない。この時期、毎日のように農家から被害の通報があり、その都度、職員が駆け付け、水田の外に追い出したり、網を使って水田への動線を防いだりしているが、あまり効果がなく、「すぐ戻ってくるのでイタチごっこだ」(柏市農政課)という状態が続いている。
コブハクチョウの被害は田植え時期の5、6月がピークだが、秋になると今度は稲穂の被害が増える。年によって異なるが、手賀沼周辺には150羽前後のコブハクチョウが生息しているとみられる。年々、増えており、両市ではこれ以上増えるのを抑えるため、餌付けしないよう呼び掛けているが、野鳥の保護という市民感情もあり、あまり効果はあがっていないのが実情だ。
生息数の増加について、我孫子鳥の博物館では、住み着いてから数10年経ち増羽期に入ったことや天敵がいないこと、冬季の減羽が餌付けで抑えられていることなどを挙げる。柏市では〝偽卵"などで、個体数を減らす研究を進めているが、まだ試験段階。農家の追い出し作業は、当分続きそうだ。
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