農業従事者 5年で46万人減 49歳以下8.5万人減 新規就農定着へ検討会-農水省2021年4月28日
農林水産省は4月27日、「2020年農林業センサス」の確定値を公表した。農業従事者は2015(平成27)年から2020(令和2)年の5年間で46万人減少し152万人となった。産業として農業を持続させていくには多様な若者を農業に呼び込む必要があることから、農水省は新規就農者を確保し定着に向け5月に検討会を設置することを明らかにした。
農業従事者数は2015年には197.7万人だったが、5年で45.7万人減少して152万人となった。
農業従事者のうち、15歳以上で仕事としておもに自営農業に従事している「基幹的農業従事者」は136.3万人で5年間で39.4万人減少した。高齢化でリタイアが進んだとみられている。このうち49歳以下は14.7万人で2.7万人減少した。
農業従事者のうち、雇用で農業に従事する「常雇い」(あらかじめ年間7か月以上の契約でおもに農業経営のために雇った人)は15.7万人で6.3万人減少した。このうち49歳以下は8.0万人で5.8万人減少、常雇いの減少数の9割を49歳以下が占めたということになる。また、49歳以下の農業従事者の減少数の7割を「常雇い」が占めた。
常雇いを雇い入れた農業経営体は3.7万経営体で5年前にくらべて1.8万経営体(33%)減少した。農水省によると経営者の高齢化による規模縮小や廃業などで農業で働く場がなくなったことも考えられるが、募集しても応募がなかったり定着しなかったことなども想定されるとする。
農水省はこれまで49歳以下の農業従事者数の推移について、▽49歳以下の農業従事者数からその年に50歳になる者を差し引く、▽その年の49歳以下の新規就農者数を加える、という方法で推計してきた。すなわち、新規就農後に農業に従事しなくなった人の数は入れていない。その方法で計算すると平成31年の49歳以下農業従事者は33.9万人となり、平成27年の31.8万人より増えているとの推計値となる。しかし、2020年センサスでの悉皆調査で示された実態は、22.7万人だったということになる。推計値と10万人以上もの開きがあることになる。
新規就農者数は平成26年から4年続けて2万人を超えるなど「一定程度確保してきた」(農水省)とする。しかし、必ずしも定着するとはいえず、今回の調査結果について農水省は「農業から他の世界に行く人がこれほどいたのかというのが率直な感想だ」と話す。
このため農水省は農業を産業として持続させるには意欲ある多様な若者を農業に呼び込み新規就農者を飛躍的に増やして定着させていくことが「待ったなしの課題」だとして新規就農施策を抜本的にテコ入れするため「新規就農にかかる検討会(仮称)」を立ち上げる。
5月中旬に設置、半月に1回のペースで幅広い層からのヒアリングを実施し新規就農施策の拡充につなげていく考えだ。
なお、食料・農業・農村基本計画では「農業就業者数」を2030(令和12)年に140万人(うち49歳以下37万人)を目標としている。農業就業者は「農業従事者」に年間150日以上農業に従事した農業経営体の役員(経営主)も含める。その数は今回のセンサスでは8万1230人、農業従事者152万人を加えた農業就業者は約160万人となっている。
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