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穀物価格 高止まり 緊迫化する世界の食料需給 農中総研フォーラム2022年7月26日

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農中総研が7月20日に開いた緊急フォーラム「世界と日本の食料安全保障を考える」では阮蔚(ルアン・ウエイ)理事研究員が「グローバル食料危機の構造-ウクライナ侵攻だけではない不安要因」と題して講演を行った。輸入に依存する中東やアフリカでの食料リスクの高まりを指摘するとともに、アフリカで自給のための農業振興が世界の食料安全保障にとって重要となることなどを話した。

阮蔚(ルアン・ウエイ)理事研究員阮蔚(ルアン・ウエイ)理事研究員

7月中旬のシカゴ相場は、ウクライナ侵攻前の2月中旬と比べると小麦で▲7%、トウモロコシで+8.2%、大豆で▲2.9%と下がっている。ただし、1年前とくらべると小麦+16.2%、トウモロコシ+23.4%、大豆+1.6%とコロナのパンデミックの影響が続き、高止まりしている。

今後の予測はウクライナからの小麦輸出の大幅減が見込まれているが、USDAによる世界全体の見通しでは小麦の輸出量は2.7%程度増えると予測されている。

ただ、ロシアとインドの動向が不安定要因になることを阮氏は指摘する。ロシアは昨年の不作から一転、今年は小麦で生産量は昨年より1000万t程度増える見込みも出ている。しかし、国内の基礎的食料の安定させることがロシアの政策で国内価格が上昇すれば輸出を制限する。

インドも穀物の輸出は国内需給の過不足調整としての位置づけで、国内価格が上昇すると輸出を禁止する。実際、5月14日には穀物輸出を禁止した。背景には1億7000万人の貧困人口があり、安価な食料を供給することが迫られるからだという。
食料生産に必要な肥料価格が今回は高騰したが、現在は窒素の価格は下落、リンとカリは高止まりの状態となっている。ブラジルとインドがロシアとベラルーシの肥料に依存しており、その確保ができるかどうかは世界の食料事情に影響を与えることになる。

化学肥料は食料増産を実現した。2019年までの半世紀で人口は中国72.4%増、インド151.6%増加だが、作付面積は中国5.3%増、インド1.7%増に過ぎない。化学肥料の使用で中国14倍、インド20.9倍と驚異的な食料増産を達成。途上国では化学肥料の需要が大きい。

しかし、FAОが6月に公表した食料展望では、化学肥料の投入コストは過去最高水準で推移しており、食料価格は高騰しても農家の実質手取り収入は減少、化学肥料の使用を抑制する可能性もあるという。そうなると生産が減少する懸念につながる。

中東やアフリカでは食料リスクが増大している。ロシアとウクライナの小麦への依存度は、エジプト70%、レバノン60%、チュニジア80%。一部の途上国では、政治腐敗や内戦、干ばつなどで恒常的に食料危機が起きているが、そこにロシアのウクライナ侵攻が追い打ちをかけた構図があるという。

阮氏は、戦後、先進国が余剰農産物をアフリカに輸出したことによって自国農業が衰退したことが食料危機を招いている点も指摘した。

エジプトはアメリカの余剰小麦の押しつけ先となり、ナイルデルタの農業は衰退した。輸入先は米国からロシアへと代わりリスクにさらされている。

一方、アフリカ最大の人口大国のナイジェリアは2億人を突破し、2008年の穀物高騰の経験からコメの増産を始め、食料自給策を具体化している。コメの生産量は2015年400万tから2020年に545万tと36.1%増加した。コメ、野菜、肉類などを対象に事実上、輸入禁止も実施しているという。コメ輸入量は164万tから6万tへ急減した。

阮氏は、世界の食料安全保障のためにはこうしたアフリカの食糧増産の支援と、コメ・小麦・化学肥料の国家備蓄、国家備蓄を他国に緊急に融通するアジア・アフリカの食料プール制度など取り組みが重要だとする。

同時に低コスト高効果の堆肥製造とその普及、耕畜連携による地域内循環型の肥料供給体制の構築など、化学肥料依存を削減する目標をSDGsに位置づけることも必要だと提起した。

食料や肥料価格は不安的だが、下落する可能性もある。「下がったときに食料安保の議論をしなくなってしまうのがいちばん問題」と指摘した。

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