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農政:どう思う!菅政権

家族農業・中山間支援重視を 前農林水産大臣政務官 藤木眞也参議院議員【どう思う! 菅政権】2020年9月25日

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家族経営や小規模経営など多様な担い手を重視して持続可能な農業、農村をつくることを打ち出した新たな食料・農業・農村基本計画は8年近く続いた安倍農政の最後の1年間で決定されたことになる。今後の実践が課題となるなか、この1年間、農林水産大臣政務官を務めた藤木眞也参議院議員に政務官としての経験を振り返ってもらうとともに、菅政権の農政に望むことを聞いた。

藤木眞也参議院議員藤木眞也参議院議員

--昨年、大臣政務官に任命されたときは、どう思われましたか。

この前まで農家だった人間が農水省のなかで仕事ができるわけですから、それはうれしかったです。党の活動での発言と違って、立場上言いたくてもいえない部分もありましたが、逆に直に現場に反映させられる政策決定に関わることができたと思います。党の部会でも他の議員の意見をしっかり聞いて、政策のとりまとめのときにそれが反映されているかチェックすることもありました。
この1年間は災害、豚熱、コロナ対応に追われ、そこに基本計画の策定もあったという1年でした。
災害対応で感じたのは東京で決めた方針を最終的にいかに市町村まできちんと伝えるかが課題だと感じました。たとえば、倒壊したハウスの処理方針でも東京ではすべて国で処理することになっていても行政で解釈が違って現場が混乱したということもありました。
豚熱対策のうち飼養衛生管理基準の問題は、自分が畜産農家として取り組んできたから問題点がよく分かったということもあります。自分に物差しがあるのでCSF対策本部のときに県により差があることの問題点を指摘したこともあります。口蹄疫発生とき、九州の畜産農家は相当に厳しい指導を受けて短期間でレベルを上げたという経験がありますから、今回は現場に宮崎や熊本の農家に入ってもらって講習会を開くなどしないとレベルが上がらない、ということも指示しました。そこは農業の現場から行政の現場に来て良かったことの1つではないかと思っています。
コロナ禍に関しては、いきなり牛肉の価格下落がありました。時間がかかったし、当初は自分の思いとは違う対策の方向だったりしましたが、最終的に牛肉の卸業者を支援することで消費喚起につなげることができたと考えています。
担当分野というのはとくになく、すべて大臣と副大臣、政務官の5人で話し合っていました。ただ、やはり現場が分かった人が行政の場に入っていくのは本当に大事だと思っています。

--基本計画には家族経営、小規模農業を重視するという方向も打ち出されました。どう受け止めていますか。

今回、家族経営や小規模農業が基本計画に反映されてくるまでの過程には、私が当選してからこの4年間の流れがあると思います。議員のスタート時は農政が市場原理主義的な発想にぐっとシフトしている感じでした。しかし、「中小・家族経営」、「中山間地域農業」と呪文のように唱え続けた結果、日本の農業の基盤は家族経営であり、大半を担ってもらっている部分には中山間地域の農業があるということを認識しなければならないという議論が出てきました。ちょうど2年めの秋からいろいろな政策資料に家族経営や中山間地域という言葉が語られるようになり、風向きが少し変わり始めたと感じました。そういう意味では基本計画で急に出てきたわけではなく、だんだんと家族経営、中山間地域が重要だという考えが強くなっていったということですし、今もそういう時期だと思います。それまではその言葉すら政策にはなかったのが、それが出てきたのだから今後は行動につながっていかなければならないというステージにいると思っています。
基本計画の検討では担当部局から説明を受けますが、当初は家族経営の書きぶりは弱く、さらにいえば食料安全保障の確保という記述も少なく、私はこれを入れないで日本の農業を語れるわけがないという主張をしました。審議会や党の意見もあってだんだん記述が増えていったと思います。
これもいわば表札として表に掲げたわけですから、今からの5年間できちんと家を作っていかなければなりません。

--今後の農政に期待することは何でしょうか。

市場原理一辺倒のような議論からすれば相当方向が変わったと思います。農政の方向として現場とかみ合ってきたなかで、災害などさまざまな課題に対応し始めたという感じはしていました。それを考えるともう少し手がけたかったなという部分は多いと思っています。たとえば輸出についても5兆円目標を国が掲げたのですから、そこに向かうには今までのような考えでは無理だと思います。これは林業も水産業も含めてのことですから、たとえば家1軒分の国産材をプレカットで輸出すれば1000万円を超えます。単品の農産物で1億円を超えるというのは大変なことですが、このように目標達成にはやり方、考え方を大胆に変えて進めていかなければならないと思います。そこはこれからです。
一方でもともと農業生産基盤は乏しい国で規模拡大を進めていける人もいますが、そういう方だけの経営で本当にいいのですかということを考えたときに、やはり多様な経営体がなかったら日本の農業の持続は無理です。ですから、家族経営を支援する政策について来年度の概算要求で細かい点をもっと検討し、要求に盛り込むという仕事までしたかったという気持ちがあります。
それから米の問題があります。今年はこうした過剰生産になるのではないかということが早くから分かるなかで、コロナ禍で議論が全然できませんでした。制度の見直しに向けては今からスピードを上げて議論をしないと取り返しがつかないのではないかとさえ思います。それには国が生産数量目標の配分をやめたこの3年間を検証しなければなりません。なぜこうなったか、です。それを検証すれば国が手を放したからではないかという問題も出てくるのではないか。そこから検証しなければなりません。
基本的な考えとして、天候に左右される農業は計算どおりにはいかない部分も多く、それをどれだけ理解して農政を進めるかが大事だと思います。

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