シンとんぼ(171)食料・農業・農村基本計画(13)輸出国から我が国への輸送の状況2025年12月6日
シンとんぼには農業の持続的発展と食料の安定供給への切なる思いがあり、この思いが一日でも早く実現されることを願いながら、今後の農業を占う様々な事項について持論を展開している。
その一環でシンとんぼでは、大本の法律である食料・農業・農村基本法(2024年6月改正)の条文の理解を深め、シンとんぼなりに基本法をしっかりと学べたのではないかと思っている。
現在、同法の理念を実現する具体的な内容を記した(であろう)2025年4月11日に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」(以降、「基本計画」)の詳細を検討しながら、基本法の理念がどのように反映され、どうやって実現しようとしているのか等を検証し、農業現場で何がなされなければならないのか探ろうとしている。
今回は「第2部食料安全保障の動向」のうち「2 世界の食料貿易」(3)輸出国から我が国への輸送の状況」について紹介する。
「輸出国から我が国への輸送の状況」には次のように書かれている。
「海外からの我が国への農産物輸送は、北米大陸西岸から太平洋を横断するルートや、南北米大陸東岸からパナマ運河を通過して太平洋を横断するルート、南米大陸東岸から喜望峰、マラッカ海峡を通過するルートなどにより、主に船舶で行われていることから、これらのシーレーンに支障が生じた場合には、我が国の食料供給に大きな影響が生じ得る。また、国際的な船舶輸送のコストの影響を受けることとなるが、そのコストは船舶輸送のひっ迫化や不安定化の状況に左右されることから、その動向を注視することが必要である。さらに、主要な海路の中には、そのルートにおいて、狭い海峡や運河等の要衝(チョークポイント)を経由するものがある。我が国への農産物輸送においても、パナマ運河やマラッカ海峡といったチョークポイントを経由するものがあり、この地点の航行が困難となった場合には、輸入の遅滞や迂回ルートへの切り替え、それに伴う物流コストの増加につながることから、特に注視が必要である。」となっている。
食料の輸送に関して注視しなければならない指標としては、バルチック海運指数とパナマ運河の通航制限のことが述べられている。要約すると、「バルチック海運指数は、外航ばら積み船の運賃指数で農産物の輸入コストが増加するとこの指数が上昇する。我が国の主食料輸入の多くが北米・南米のため、その主要輸送ルートにあたるパナマ運河の通航制限が実施された際には、輸送ルートの切り替え等により輸送コストの増加が生じる。これらの指標を常に注視する必要がある。」となる。
つまり、日本の食料輸入は、海外での作況だけでなく、船舶輸送の状況も命綱であるということだ。これだけでも食料を海外に頼ることの危機感が増幅されるように感じる。
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