農薬:防除学習帖
畑地雑草の防除1【防除学習帖】第77回2020年11月13日
野菜に限らず、露地で農業生産を行う場合は、必ず雑草との闘いが待っている。雑草は、せっかく施した養分の収奪や光の競合などで作物の生育を抑制したり、種の混入などで品質を悪くしたりする。豊かな収穫を得るためには、除草防除が欠かせないものであるが、1つのほ場に多年生のものや一年生のもの、イネ科や広葉など多種多様な雑草が生えてくるし、またそれらの発生状況が作物ごと、地域ごとに異なる。ところが、除草作業というのは、1つのほ場に対して行われるため、病害虫であれば複数の病害虫が同時に発生しているようなものである。このため、病害のように「○○病の防除法はこれ!」といったまとめはしづらいので、除草法の使用場面ごとに整理してみる。また、野菜で除草が必要になるのは、露地での栽培が主体となるので、以降、畑地雑草の防除法を紹介する。
1.畑地雑草の耕種的防除法
(1)手で取る(テデトール)
雑草の物理的防除の代表。耕作が始まって以来ずっと行われている手で引き抜く除草法である。これは薬害もなく、確実に除草できる優れた方法であるが、労力がかかりすぎるため、大面積では使えない。
(2)マルチ・遮光シート・除草シートの設置
雑草も植物なので、基本的に光合成を行って生長する。このため、太陽光を遮られると生育できない。この太陽光を遮る方法がマルチや除草シートの設置である。ただ、ほ場全面を覆うことはできないので、畝単位や畦畔など限られた面積を覆うのが一般的である。ただ、手間な点もある。それは、作物を植えるために穴をあけなければならないので、穴開け作業が手間な点(最近は最初から穴が開いているマルチも販売されているがやや割高)やその穴のわずかな隙間から雑草が生えることもあることだ。
加えて、作物によって使うマルチやシートが異なる場合があるので、使い方をよく確認して被覆資材を選ぶようにする必要がある。
(3)カバークロップ
自然界では、植物同士が、光や水、養分を競合しながら生き残るためにしのぎを削っている。なので、一面を1つの植物で多いつくされているような場所には、他の植物は生育しづらい環境になる。このことを利用して、あらかじめ同一の植物で地面を覆い、雑草を生えにくくする方法である。ただ、主作物の生育に影響があってはいけないので、畦畔であったり、法面であったりと使用できる場面は限られるが、除草しないで済む面積が増えることは労力面で大きなメリットとなる。
収穫対象の作物ではないが除草効果や緑肥効果など農作物にとって有益な働きをするものをカバークロップと呼んでいる。その代表的なものは次のとおり。他にも多数のカバークロップ(カバープランツともいう)があるので、用途に合わせて利用すると良い。

(4)中耕除草
ダイズなどでよく使われる方法。生育期に畝間を耕起・土寄せして物理的に除草するのに加え、株元に生えている雑草の上に土を被せ、被覆効果によって除草する。
2.畑地雑草の化学的防除
畑地雑草防除に使用される除草剤は、土壌処理剤、茎葉処理剤、非選択性茎葉処理除草剤の3つに分けられる。その特徴と使用時期・方法の概要は以下のとおり。
次回、除草成分ごとの特徴を紹介する。

このシリーズの一覧は以下のリンクをご覧ください
重要な記事
最新の記事
-
令和7年秋の叙勲 西沢耕一元JA石川県中央会会長ら93人が受章(農協関係)2025年11月3日 -
シンとんぼ(166)食料・農業・農村基本計画(8)農業の技術進歩が鈍化2025年11月1日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(83)テトラゾリルオキシム【防除学習帖】第322回2025年11月1日 -
農薬の正しい使い方(56)細菌病の防除タイミング【今さら聞けない営農情報】第322回2025年11月1日 -
酪農危機の打破に挑む 酪農家存続なくして酪農協なし 【広島県酪農協レポート・1】2025年10月31日 -
国産飼料でコスト削減 TMRと耕畜連携で 【広島県酪農協レポート・2】2025年10月31日 -
【北海道酪肉近大詰め】440万トンも基盤維持に課題、道東で相次ぐ工場増設2025年10月31日 -
米の1等比率は77.0% 9月30日現在2025年10月31日 -
2025肥料年度春肥 高度化成は4.3%値上げ2025年10月31日 -
クマ対策で機動隊派遣 自治体への財政支援など政府に申し入れ 自民PT2025年10月31日 -
(459)断食:修行から管理とビジネスへ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月31日 -
石川佳純が国産食材使用の手作り弁当を披露 ランチ会で全農職員と交流2025年10月31日 -
秋の果実王 旬の柿を堪能 福岡県産「太秋・富有柿フェア」開催 JA全農2025年10月31日 -
「和歌山県産みかんフェア」全農直営飲食店舗で開催 JA全農2025年10月31日 -
カゴメ、旭化成とコラボ「秋はスープで野菜をとろう!Xキャンペーン」実施 JA全農2025年10月31日 -
食べて知って東北応援「東北六県絆米セット」プレゼント JAタウン2025年10月31日 -
11月28、29日に農機フェアを開催 実演・特価品販売コーナーを新設 JAグループ岡山2025年10月31日 -
組合員・利用者に安心と満足の提供を 共済事務インストラクター全国交流集会を開催 JA共済連2025年10月31日 -
JA全農と共同開発 オリジナル製菓・製パン用米粉「笑みたわわ」新発売 富澤商店2025年10月31日 -
【スマート農業の風】(20)GAP管理や農家の出荷管理も絡めて活用2025年10月31日



































