農薬:防除学習帖
トマト病害虫雑草防除のネタ帳 担子菌類の防除【防除学習帖】第169回2022年10月1日
現在、防除学習帖では病原菌の種類別にその生態や防除法を紹介している。前回までに、子のう菌類病を紹介したので、今回は担子菌類を紹介する。
1. トマトに発生する担子菌類
(1)担子菌類の特徴
担子菌類は、糸状菌(かび)の仲間であり、糸状菌の中では子のう菌とともに高等な菌とされている。繁殖に際して、有性世代に相当する菌糸接合の後に担子座が作られ、その外に担子胞子と呼ばれる胞子をつくることから担子菌と呼ばれている。担子菌類に含まれる病原菌には、さび病菌と黒穂病菌があるが、椎茸などいわゆるキノコもこの担子菌類に属する。
子のう菌と同様に無性胞子だけで繁殖するものもある。
2.トマトに発生する担子菌類病
トマトに発生する担子菌類は、トマトさび病である。本病は、トマトに発生する他の病害の防除剤で十分に防除効果を発揮するので、一般防除が実施されている栽培においては、さび病単独で問題となることはほとんどない。
3.さび病
(1)発生生態と被害
Puccinia 属の糸状菌(かび)によって発生する。主に葉に鉄さびのような色の盛り上がった病斑を 作、降雨や曇天が続き、湿度が高い時期に一気に感染が広がる。
発生が多くなると、葉の活性が低下し、収量、品質が低下する。
(2)生活環・伝染方法
宿主上で発生した担子胞子が空気伝染もしくは、胞子が付着した育苗資材、作業者の衣服などによって伝染する。菌の生育適温は20~25℃であり、温かく降雨が続くと多発生する。
(3)防除法
ア.耕種的防除
①窒素質(N)肥料過剰(葉色が濃緑になる)は発病を助長するので、土壌診断に基づいた適正施肥を行う。
②排水を良くして、敷きワラやマルチなどを施して、土や水の跳ね上がりを防ぐ。
③無病種子や無病苗を使用する。
イ.化学的防除
①散布剤による防除
さび病に効果のある有効成分は以下のとおりである。この表は、さび病に効果のある有効成分を把握するため他の作物で登録を有するものを全て表記したので、実際の使用にあたってはトマトに登録のあることを確認するようにしてほしい。
発生が多くなった後では治療効果のある薬剤でも完全な防除は難しくなるので、予防効果主体の薬剤の定期散布を基本とし、病害が発生したら、発生初期のまだ病害が少ないうちに治療効果のある薬剤を使用して徹底防除を行うようにする。
近年は、予防剤と治療剤の混合剤が登場しているので、それら混合剤と予防主体剤のローテーション散布が最も効率的な防除が期待できる。
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