林業現場の負担軽減へ「空のソリューション」実証実験実施 ヤマハ発動機2021年5月13日
ヤマハ発動機はニュースレターで産業用無人ヘリを活用した無人ソリューションについて、静岡県掛川市の山中で行われた実証実験とその取り組みについて紹介している。
山中120往復で1.5トンを運搬
「運搬した資材は計1.5トン。積込み・荷下ろしの現場間を5日間で約120往復して、すべての資材を運びきりました」と話すのは同社UMS事業推進部の加藤薫さん。今年3月中旬、静岡県掛川市の深い山の中で、同社の産業用無人ヘリコプター「FAZER R G2」が、支柱やネットといった獣害対策用の資材をコンテナに積んで運んだ。
パイロットによる操縦と自動航行を組み合わせ、計1.5トンの資材を運んだ「FAZER R G2」
植えたばかりのスギやヒノキの苗木を、シカやカモシカによる食害から守る防護柵用の資材。荷下ろしの現場は、クルマがやっと通れる林道から高低差約120メートルの谷の底で、距離にして約300メートルのけもの道には丸木橋も掛かっている。林業作業用のスパイクを履き、重い資材を背負って斜面を歩くには時間がかかり、作業者の負担が大きく、危険も伴う。
同社は、送電線用の建設資材を切り立った山中に運ぶなど、無人ヘリによる運搬の委託も請け負っている。今回の実証実験は、「現場の安全性や省力化を確保しながら、大切な苗木を守りたい」という切実な課題を抱える掛川市森林組合からの相談を受けて行われた。
谷底の防護柵設置場所には、続々と資材が運び込まれた
活躍の場がひろがる無人ソリューション
担ぎ手である「FAZER R G2」の積載能力(ペイロード)は35キロ。ここから資材を格納するためのコンテナの重量を差し引き、さらに形状の異なる資材を効率的に組み合わせると一度のフライトで運べる量はおよそ20キロとなる。斜面を挟んだ積込み・荷下ろしの現場にそれぞれ操縦オペレーターを配置し、樹木等の障害物を避けるため、パイロットによる操縦と自動航行を組み合わせ、片道約10分弱の往復を繰り返す。事前準備で強風の影響を受けにくい積載方法などの試行錯誤を重ねたこともあり、トラブルなく、計画通りにミッションを遂行した。
同森林組合の尾崎友昭さんは実証実験を振り返り「森林資源の循環的な活用には、安全性や効率、正確性を高めるさまざまな技術の結集が必要と感じている。資材の運搬はこれまで人力に頼ってきたが、危険を伴う重労働を(無人ヘリが)担ってくれてとても助かった」と話した。
同社は2030年を見据えた長期ビジョンで、「ロボティクスを活用し、社会課題にヤマハらしく取り組み、モビリティに変革をもたらす」ことに取り組んでいる。産業用無人ヘリを活用した無人ソリューションもその一つ。衛星通信やレーザースキャナーとの組み合わせで活躍の場をひろげ、農業現場をはじめ、森林資源や地形の計測、さらには建造物等の点検・検査、警備・防災など、社会課題の解決に向けたさまざまな取り組みを進めている。
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