福島の再エネめぐるモニターツアーに参加 原発事故を教訓に再起めざす パルシステム2023年1月26日
パルシステムグループは1月19日、20日に開催された「福島の再エネ施設をめぐるモニターツアー」に参加。福島県内で太陽光や地熱などを活用する発電所を視察し、福島第一原発事故の教訓をあらためて学び、再生可能エネルギーの将来を考えた。
土湯温泉のバイナリー発電所を見学する参加者
モニターツアーは「パルシステムでんき」の発電産地である飯舘電力が主催し、パルシステムグループから役職員7人が参加した。視察先は、同社1号発電所(飯舘村)と会津電力雄国発電所(喜多方市)の両太陽光発電施設、元気アップつちゆ土湯温泉16号源泉バイナリー発電所、同土湯温泉町東鴉川水力発電所(福島市)で、いずれもパルシステムの発電産地となる。
飯舘電力は、飯舘村内に49基の太陽光発電施設を稼働。同村は原発事故によって深刻な放射能汚染にさらされ、いまもなお一部が「帰還困難区域」に指定されている。同社は、村内外から寄せられた寄付や出資金を活用し、施設を設置。14基はソーラーシェアリング施設となっており、農地で牧草を育てるほか、非常用コンセントを付設することで災害などによる停電にも備えている。
新設予定はなく、その理由について千葉訓道副社長は「現在の固定価格買取(FIT)制度による買取価格が、損益分岐点を下回る価格まで引き下げられている。太陽光発電は、設置費用がドイツに比べ3倍近くかかっており、技術的な発電コスト引き下げが不可欠」と説明した。
一方、会津電力は、特別顧問の佐藤彌右衛門さんが案内。同社は県内に太陽光と小水力の発電所を89か所で稼働し、バイオマスを利用した熱供給事業も展開している。酒造会社を経営する佐藤さんは、原発事故を機にエネルギー事業に参画し、同社のほか飯舘電力の設立にも中心的な役割を果たした。
佐藤さんは「会津には森林や河川などの自然が豊富な穀倉地帯で、エネルギーの観点からも『宝庫』といえる。これからは、この地域がエネルギーの供給基地だけでなく使う側にもならなければいけない」と抱負を語った。
元気アップつちゆは、飯舘電力の千葉さんが中心となり2014年に地熱発電所、2015年に水力発電所を稼働させた。地熱発電は、高温で湧き出る土湯温泉の源泉を風呂の適温まで下げる温度差を活用する「バイナリー発電」を採用。さらに冷却に使用し温水となった湧水で、東南アジア原産のオニテナガエビの完全養殖にも成功している。
元気アップつちゆの立ち上げメンバーでもある飯舘電力の千葉さんは、発電所について「バイナリー発電なら、源泉を100%温泉に活用できる。土湯温泉の観光業は原発事故の風評被害で大きな打撃を受けた。源泉を損ねることなく発電し収益を地元に還元することで、経営安定に寄与している」と紹介した。
飯舘電力では今後も、モニターツアーを開催するほか、オンラインでのバーチャルツアーやYouTube「きぼうチャンネル」などを通じ、再生可能エネルギーへの理解浸透と原発事故の風化防止に向けた活動を展開していく予定。
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