ゲノム配列から同定した遺伝子の機能予測を最速で行うプログラム開発 かずさDNA研究所2019年6月11日
かずさDNA研究所は、植物のゲノム解析において重要な遺伝子配列から、遺伝子の働きを推定するプログラム「Hayai-Annotation Plants」を開発した。
次世代シークエンサーなどのDNA配列の解析技術の向上により、多様な植物種のゲノム配列が解読される中、同研究所でも近年、トマトやイチゴなど実用作物のゲノムの解析を行っている。
ゲノムを解析して他の植物種と比較するには、配列データを解析し、どこにどのような遺伝子があるかを注釈づけるアノテーションといわれる作業が必要とされる。
アノテーションには、構造アノテーションと機能アノテーションがあり、構造アノテーションはゲノム配列から遺伝子として機能する配列の部分を見つけ出すこと。一方、機能アノテーションは見つけ出された遺伝子配列がどのような機能をもっているのかを推定する。機能アノテーション作業では、これまでに世界中で解析された様々な生物種の遺伝子のもつ情報が格納されているデータベースを用いて、配列の類似性などから調べたい遺伝子がどのような機能を持っているかを推定するが、検索の対象となる配列数が膨大であることから、これまでは大型の計算機が必要とされていた。
今回開発されたプログラム「Hayai-Annotation Plants」は、植物の各遺伝子に対して、タンパク質の名前、遺伝子オントロジー、EC 番号(酵素の機能を分類するためのもの)、機能推定の精度レベル 、推定の根拠となる情報の由来の5項目を速く高精度で付与することができるため、従来より計算速度が速く、精度の高い結果を得ることができるようになった。また、通常のパソコンレベルのスペックで解析できるところが特長。※現在はMac版OSにのみ対応
研究成果は、国際科学雑誌Bioinformaticsに5月15日付でオンライン公開された。
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