【特殊報】キンギョソウ、ミニトマトに「クロテンコナカイガラムシ」県内で初めて確認 和歌山県2023年12月27日
和歌山県農作物病害虫防除所は、キンギョソウとミニトマトにクロテンコナカイガラムシの発生を県内で初めて確認。これを受けて、12月27日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
写真1:クロテンコナカイガラムシ雌成虫(背中に特徴的な黒斑)(写真提供:和歌山県農作物病害虫防除所)
和歌山県農作物病害虫防除所によると、10月中旬に岩出市の施設栽培キンギョソウおよび日高郡印南町の施設栽培ミニトマトや周辺雑草においてコナカイガラムシ類の発生が認められた。農林水産省神戸植物防疫所に同定を依頼したところ、和歌山県では未発生のクロテンコナカイガラムシと確認された。
写真2:ミニトマトの株元付近に寄生する雌成虫と幼虫(写真提供:和歌山県農作物病害虫防除所)
同種は2009年に沖縄県で発生が初めて確認された後、大阪府、奈良県、京都府、兵庫県、滋賀県など19府県においてトマト、ナス、キュウリ、ズッキーニ、オクラ、ホウレンソウ、食用トレニア、食用キンギョソウ等で発生が確認されている。
雌成虫には翅がなく、体型は楕円形で、体長は3~5ミリ程度。背面に白色のロウ物質を分泌するため、全体としては白く見えるが、背面の前方と後方に各1対の明瞭な黒斑が見られる(写真1)。
繁殖は、交尾後産卵する有性生殖と雌成虫が交尾しない単為生殖の両方が知られており、ワタ状のロウ物質の卵のう内に350個程度産卵する。ふ化幼虫は数日間卵のうで過ごした後、歩いて分散する。雌は2齢、3齢幼虫を経て成虫となり(写真2)、雄では2齢幼虫の終わりに繭を作り、前蛹、蛹を経て羽化し翅を持つ成虫となる。
同種は広食性で、ナス科やウリ科、キク科等多くの作物や雑草に寄生する。葉、茎、花芽等に寄生し、吸汁により寄主植物を衰弱させることから、発生が多いと生育不良になる(写真3)。また、甘露(糖分を多く含む排泄物)による果実や葉等の汚れやすす症状を引き起こす。
写真3:キンギョウソウの被害(写真提供:和歌山県農作物病害虫防除所)
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇クロテンコナカイガラムシの茎葉等への寄生と、同種が分泌する甘露によるすす症状の早期発見に努める。
〇除去できる寄生部位はビニール袋等に入れ、ほ場外に持ち出して適切に処分する。
〇スベリヒユ等の雑草にも寄生するため、ほ場内および周辺の除草を徹底する。
〇作付けを開始する際には、同種の寄生のない健全な苗を選定する。
〇12月1日現在、花き類のカイガラムシ類に対する登録農薬はあるが、ミニトマトでは登録のある農薬はない。 農薬散布にあたっては、最新の情報を確認し、使用基準を遵守する。
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