温暖化に対応したミカンとアボカドの適地予測マップを開発 農研機構2025年3月10日
農研機構は、温暖化の影響が大きく、適地移動が懸念されるミカンについて、長期的な生産計画策定のための詳細な栽培適地予測マップを開発した。一方、温暖化により栽培適地の拡大が期待される亜熱帯果樹のうち、アボカドの適地予測を初めて実施。現在のミカン産地における今後のミカン生産の継続は、地球規模での温室効果ガス排出量に大きく依存することや、アボカド適地は今世紀半ばには現在の2.5倍以上に拡大すること等を明らかにした。
ミカンの日焼け(左)、わが国のアボカドの主力品種「ベーコン」
全国で生産できる水稲等と比べ、果樹は気候への適応性が低く、北日本等のリンゴ、西南暖地のウンシュウミカン(以下ミカン)など主産地に地域性が見られる。このため、温暖化の進行に伴い、現在の産地が栽培に適さなくなる可能性があり、大きな問題となりかねない。
とりわけミカンの適温域は年平均気温15~18℃と3℃の幅しかないため、わずか1℃の気温上昇でも大きな影響を受ける。実際にミカン産地では、日焼けや浮皮などの高温障害が多く報告されている。
栽植後、数十年間同じ樹で生産を継続することが多いことから、産地ごとに将来の気候変化に合わせた長期的な生産計画の検討が必要。これまでにもミカンの栽培適地の予測研究は行われてきたが、地域ごとの気温を細かく予測できていなかった。また、今後の気温上昇は、温室効果ガス排出量に左右されるため、それが適地移動の予測にどの程度幅が見込まれるかは不明だった。
一方、被害対策だけでなく、気候変動がもたらす機会を活かすことも重要。現在、アボカド等の亜熱帯果樹の栽培適地は南西諸島や伊豆・小笠原諸島など島しょ部が中心だが、今後、本州などに大きく広がる可能性がある。
そこで農研機構は、今世紀半ばおよび今世紀末におけるミカンとアボカドの適地移動を予測し、個々の産地レベルで適地分布を確認できる詳細なマップを開発。また、予測結果を分析し、(1)ミカンの適地は徐々に北上するが、適地よりも高温となる地域の多くはアボカドの適地となるため、ミカンからより温暖な気候を好む他のカンキツへの転換だけでなく、アボカドへの転換も適応策のひとつとなり得ること、(2)現在のミカン産地の存続に地球規模の温室効果ガス排出量削減が大きく影響すること、(3)アボカドについては、今世紀半ばには、本州等の沿岸部の一部が栽培適地となり、適地面積は現在の2.5倍以上に拡大することが示された。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】ピーマンにアザミウマ類 県内全域で多発のおそれ 大分県2025年7月10日
-
【注意報】トマト、ミニトマトに「トマトキバガ」県内全域で多発のおそれ 大分県2025年7月10日
-
【注意報】イネカメムシ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2025年7月10日
-
【特殊報】メロンにCABYV 県内で初めて確認 茨城県2025年7月10日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】コメ増産こそが自給率を向上させる~輸入小麦をコメで代替すれば49%2025年7月10日
-
【第46回農協人文化賞】地道な努力 必ず成果 経済事業部門・愛知県経済連会長 平野和実氏2025年7月10日
-
【第46回農協人文化賞】全ては組合員のため 経済事業部門・宮崎県農協副組合長 平島善範氏2025年7月10日
-
ジネンジョとナガイモ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第348回2025年7月10日
-
【2025国際協同組合年】SDGsと協同組合 連続シンポジウム第4回2025年7月10日
-
備蓄米 コンビニの7割で販売を確認 7月9日時点 農水省調査2025年7月10日
-
【人事異動】農水省(7月11日付)2025年7月10日
-
水稲の斑点米カメムシ類 多発に注意 令和7年度病害虫発生予報第4号 農水省2025年7月10日
-
【JA人事】JA加賀(石川県)新組合長に道田肇氏(6月21日)2025年7月10日
-
【JA人事】JA新みやぎ(宮城)新組合長に小野寺克己氏(6月27日)2025年7月10日
-
「田んぼの生きもの調査」神奈川県伊勢原市で開催 JA全農2025年7月10日
-
「米流通に関するファクトブック」公開 米の生産・流通など解説 JA全農2025年7月10日
-
「おかやま和牛肉」一頭買い「和牛焼肉 岡山そだち」ディナーメニューをリニューアル JA全農2025年7月10日
-
本日10日は魚の日「呼子のお刺身いか」など150商品を特別価格で販売 JAタウン2025年7月10日
-
転炉スラグ肥料がイネの発芽・発根・出芽を促進 農研機構2025年7月10日
-
適用拡大情報 殺菌剤「日曹ムッシュボルドーDF」 日本曹達2025年7月10日