アベノミクスの真相

- 著者
- 浜矩子
- 発行所
- 中経出版
- 発行日
- 2013年5月29日
- 定価
- 本体1000円+税
- 電話
- 03-3262-0371
- 評者
- 小針美和 / (株)農林中金総合研究所主事研究員
著者の浜矩子氏は、いわゆる"アベノミクス"を批判する代表的なエコノミストである。本書でも、第一の矢である金融政策については「資産インフレ」と「実物デフレ」の同時進行をもたらし、ますます経済運営が難しくなること、また、第二の矢「機動的な財政政策」、第三の矢「成長戦略」についても、実態は戦後の高度経済成長時代への回帰に過ぎず、時代錯誤であると痛烈に批判している。
「地域」の存在感が高まる
そして、既に富が蓄積され成熟社会にある日本では、むやみに「成長」を追い求めるのではなく「成長・競争・分配」のバランスを意識し、政策の力点は「分配」に置かれるべきと主張する。やや表現が過激な感もあるが、そのポイントを23の項目に分けて段階的に説明しており、初心者にも読みやすく分かりやすい内容となっている。著者の基本的な考え方は、グローバル経済の進行によりヒト・モノ・カネが容易に国境を越え、国民国家の中央政府の効力が希薄化するもとでは、[1]人々の生活と活動の軸として地域社会・地域共同体が存在感を強めていくこと、[2]国家や政策のあり方は集権的管理ではなく「協調的分権」が重要であること、すなわち「地球の時代は地域の時代」(103ページ)ということにある。
地域を基盤とする農協にとって大変示唆に富む主張であるが、残念ながら本書では具体的な解決法は記されていない。むしろ、その解は実践のなかにあり、政策の「真相」を理解した上で現場は何をなすべきか、地域の力が改めて問われていると感じられた。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日