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【コラム・ひとこと】風評被害、負けるもんか!2013年5月8日

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【金右衛門】

 風評被害に悩む福島県に観光客が戻って来た(日経新聞4.27)。
 NHK大河ドラマ「八重の桜」の放映による会津への観光客増加が寄与しているという。昔の仕事仲間と福島県いわき市の温泉レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」へ1泊2日旅行をした。

 福島原子力発電所のある場所から60km南に位置している。風向きが幸いし、大震災時の放射線の被害は少なかったようだ。現在も毎日放射線は測量されているが、東京都内と同じ水準という。観光客は放射線の懸念を忘れたかのように、この広大な施設内ではしゃいでいる。いわき市は首都圏エリアからのアクセスが良い。東京、横浜、埼玉大宮から無料大型バスが毎日運行している。所要時間は3時間。それぞれの自宅に近いバス停留所を選んで乗車した。
 この頃はスマホや携帯電話を持っているから、どのバスに誰が乗り込んだか人数確認も簡単。大宮からの3人グループがバスの中で酒盛りを始めたとメールが来れば、こちらも缶ビールを出してグイとやる。仲間と目的地が同じと思えば隣席の人とは会話がなくとも外の景色を愛でながらのほろ酔いの旅はウキウキする。
 常磐自動車道の2箇所のサービスアリアでバスは休息、地元産のお土産品に乗客の目は集まる。レジャー施設の目玉であるフラガール・ポリネシアンレビュウは夜7時半からの上演で客席は満員。ダンサー達の熱演に子供達から大人まで拍手喝采であった。
 帰宅してDVD、実話を基に制作されたという映画「フラガール」を観る。日本のエネルギーが石炭から石油に、そして原子力へ移り行く時代背景があり、いわき市の炭鉱産業の落ちぶれゆく過程が描かれる。「暗い地下の炭鉱で日本のために働いているのに、裸同然で踊るとはけしからん」という父親の怒りと「自由を得て地域を活性化したい」という娘の新しい時代への希望が対照的に描かれ、感動で涙が出た。映画のストーリーと舞台上のフラダンスがダブって目に浮かぶ。
 時代の厳しい変化に、若い女たちの感性と粘り強い行動力は、真面目だが古い世代の男たちに勝った。福島のこの地域とこの施設には風評被害なんぞに負けるものかという元気さがあると感じた。

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