国債急落 アベノミクス破綻の前兆か2013年5月16日
この欄は、広く農政に関わるニュースを速報し、それに寸評を加えたものです。
国債の価格が急落している。
上の図は、安倍晋三首相(当時、自民党総裁)が「日銀の輪転機をぐるぐる回してカネを印刷すればいい」などと発言した頃から昨日までの国債価格である。1週前から急落している。アベノミクスに黄色信号がつきだしたのである。
新聞などは、金利急騰と書いているが、これは国債急落と同じ意味である。だが、国債急落とは言わず、金利急騰と書いて、ことの重大さを曖昧にしている。
だが、ことは重大である。悪質なインフレになる懸念がある。
これは、アベノミクスの第1の矢の金融緩和の結果である。政府と一体になった日銀が、大幅に金融を緩和した結果である。そして、それはインフレを容認した政府の責任である。さらに、日本の賃金は高いなどといって、会社の中に豊富にあるカネを国内で投資せず、社内に溜めこみ、TPPに加盟して海外投資を目論んでいる経営者の責任である。
◇
国債を大量に持っている銀行などは、いまのうちに早く売ってしまおうとして、価格の下落に拍車をかけている。
政府も、新しい国債を大量に発行して、売ろうとしている。
だが、買い手がいない。これでは、価格が下がってもしかたがない。
ここにはインフレへの懸念がある。政府はインフレを目指している。将来、インフレになれば、1万円の国債は1万円以下の価値になってしまう。だから、国債を持っている銀行や金持ちは、いまのうちに国債を売ってしまおうとしている。
◇
国債を売ったカネをどうするか。それが問題である。そのカネで日本の株式を買っている、と新聞が伝えている。
そこにおさまっていれば、カネ持ちのマネーゲームとして傍観していられる。庶民とは関係ない。
だが、外国の株式や債権や金や銀を買いだしたら、どうなるか。そのためには、国債を売ったマネーの¥を売って$に換えねばならない。その結果、¥の価値が下がる。円安である。そうなると、輸入品の価格が軒並み上がりインフレになる。庶民とは無関係などといっていられない。農家にとっては、飼料価格や石油などの価格が上がり、収益を圧迫する。
マネーが石油へ向かうとどうなるか。もちろん石油を買い溜めるのではない。先物市場でマネーゲームに耽るのである。その結果、実際に石油価格が上がる。
石油価格が上がれば、その影響は、直接に庶民にふりかかる。石油は生活必需品を作る原材料だからである。
つまり、石油価格が上がれば、あらゆるモノの価格が上がる。つまり、インフレになる。
庶民は、上がる前に買おうとする。インフレで老後に備えた貯金は目減りする。インフレはさらに加速する。この動きが制御できなくなれば、悪質なハイパーインフレになってしまう。
この動きを止めるのは至難のわざである。
◇
いま、アベノミクスは土壇場に立っている。
立ち直る方策は、金融の無茶苦茶な緩和ではない。カネは企業の中にあり余っている。このカネで庶民の懐を温めることである。
日本の賃金は高い、などと言って庶民を痛めつけることではない。技術革新のために国内に投資して、国民全体が力を合わせて経済の再生を図ることである。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日