【コラム・目明き千人】アベノミクスは農業を蚕食している2015年7月30日
蚕食とは、広辞苑によると「蚕が桑の葉を食うように、片端から次第に他国又は他人の領域を侵略すること」とある。蚕も1、2匹が桑の葉を食べているときは静かであるが、何百匹が一斉に食べるとザワザワと騒がしい。
アベノミクスの3本の矢を射るのに、過疎で高齢者の多い農村よりも都会の若者の票が大切だ。先ず、農協の骨抜きとして全中に焦点を当てて反対勢力をつぶした。TPPの反対が腰砕けで早速効果が出た。
次は農地だ。農業への株式会社の参入により農地が農家以外にも取得できる道を開いた。
これでは足りないので休耕地に宅地並みの税金をかけることで農家が農地を手放す方法をとることにした。これらに加えて株式や信託の投資のマネーゲームと材料が揃った。土地転がしの不動産バブルの"夢よもう一度"がかなう。業界は待ってましたと大歓迎だ。
第三の矢、成長戦略の重点政策は日本の農産物の輸出拡大である。世界の金持ちをターゲットに輸出の拡大だ。品質と価格は国際競争で負けないよう農家の努力でやってくれ。最新の企業経営の手法を農業に取り入れれば可能のはずだ。出来なければ近代的な感覚の経営者に席を明け渡してくれ。政府は舞台の袖で太鼓をたたき、ドッコイショ、ドッコイショの賑やかなお囃子を受け持つ。
一方で、アメリカのコメ、牛肉、豚肉、乳製品の日本向けの輸出の拡大はTPP妥結のための日米両国の政府間交渉で枠の拡大、関税の引き下げを具体的に数値目標、期限を決めて実施することが合意される。TPPではアメリカ以外の国も行列をして順番待ちだ。
自民党、安倍政権の成長戦略である農産物の輸出の拡大は、何処の国の農産物のことかを確かめた方がよさそうだ。
政府・与党が衆議院で強行採決をした安全保障関連法案で、よほど注意をしないと見落とすが欄外に小さな字で「食料の安全保障」の項があり、平常時から切れ目のないアメリカからの農産物の輸入の拡大がある。自衛隊を出さなくても出来るので憲法には違反をしない。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日