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コラム:リレー談話室・JAの現場から

【伊藤澄一・JC総研客員研究員】

2017.12.21 
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 ICA(国際協同組合同盟)の協同組合原則の第6は「協同組合間協同」、第7は「コミュニティーへの関与」である。第6原則は1966年に、第7原則は1995年にICA大会で採択。2018年4月にはICAの日本版である協同組合間協同の新組織が誕生する。今話題のSDGsの目指す持続可能な世界を次世代にリレーする取組みも始まる。
 23年前のICA大会で採択された第7原則「コミュニティーへの関与」は、JA自己改革では、「地域の活性化」への取り組みとなる。農協だから、農業を革新して農業生産の拡大、農家の所得増大を期するのは自明のこと。むしろ第7原則「コミュニティーへの関与」、「地域の活性化」がテーマだと思う。地域のど真ん中で地域社会に働きかけ、共にそこで学ぶ「協働・共育」、分かりやすくいえば、若月俊一先生の「農民とともに」ならぬ「農ある地域社会とともに」が農協の第7原則なのだと思う。

◇     ◇

 戦後、新たな農協組織がスタートして70年。農協は総合事業の展開とともに、いかにして地域社会の活性化に取り組み、協働・共育活動を進めてきたのか。JAグループと小・中学校等との歳月を経た絵巻のような交流に焦点を絞ってみよう。
 ▼JA共済の書道コンクールは昨年で60回目、交通安全ポスターコンクールは45回目の節目を迎えた。書道作品の応募は、昨年3万1000校の小・中学生から142万点。60年分の作品を富士山(3776m)に例えると、その1.4倍になり、5500万枚にも及ぶという。ポスター作品の応募は、昨年7200校から16万3000点。JA職員が小・中学校を訪問し作品を預かり全国のコンクールにつないでいく。東京オリンピック前に始まり、第1回に10歳で応募した児童は70歳になる。母と子が同じ賞を受賞するミラクルも生じ、3世代参加もあろう。入賞作品は各地で展示され、文化と教育の香りを届けている。
 ▼毎日新聞社とJA全中・農林中金などJAグループが協賛の「毎日農業記録賞」も昨年45回目を迎えた。原稿用紙10枚以内の作文で、一般部門、高校生部門合わせて1000点近い応募がある。農業の新時代を創ろうとする青年や高校生の挑戦と挫折、そして新たな境地、農業への尽きない思いが綴られている。第38回は口蹄疫による畜産の危機を跳ね返す高校生・一般の作品に深い感動を覚え、審査していて涙することもあった。支局の新聞記者とJAグループ職員の働きかけで原稿が集まるが、ここにも様々な出会いと交流がある。入賞作品は毎年『キラキラ農業』として毎日新聞社から出版される。
 ▼家の光協会は、「世界こども図画コンテスト」を主催。25回を迎えた今年度は、世界82の国と地域の小・中学生から1万9000点、国内から6900点の応募があった。国際機関、外務省・文科省・NHKが後援するなど、多様なネットワークによって維持されている。作品には子どもたちの心の内奥が現れる。なかにはSDGsの諸課題を想起させる作品もあり、考えさせられる。入賞作品は色彩豊かな作品集として制作される。表彰式出席の縁で、毎年、作品集を頂戴し感嘆の声を挙げている。
 ▼よい食プロジェクトの一環でもある「ごはん・お米とわたし」作文・図画コンクールは、今年度で42回目。作文は5万4000点、図画は7万2500点と破格の規模だ。中学生の作文「助け合い」は、田植期の用水上流と下流での厳しい分水管理と稲作維持のための地域の助け合いを瑞々しい感性で綴り、内閣総理大臣賞に輝いた。
 小・中学校等との書道・作文・図画をめぐる交流の年月とその膨大な作品群は、JAの「農ある地域社会とともに」を証言する財産となった。ここに記したものはJAグループが関わる全国規模の協働・共育活動の一端に過ぎない。地域・都道府県域では、食農教育など枚挙にいとまがない。
 協同組合の第7原則は、日本の農協組織に根づいていると思う。農協は経済的な事業組織であるとともに社会的な教育組織であることを再確認したい。

 

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