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【小松泰信・地方の眼力】もう官邸農政は死んでいる2018年10月24日

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【小松泰信(岡山大学大学院 環境生命科学研究科教授)】

 鎌田慧(さとし)氏によれば、101歳で亡くなるまで戦争反対を叫び続けた、ジャーナリストむのたけじさんの終焉の地である埼玉県の市民運動グループが、「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」を創設するとのこと。「地域紙や出版、ドキュメンタリー映画など、地域の問題に果敢に取り組んでいるひとや集団を顕彰しようという取り組み」で、「『野の遺賢』に光を与えたい、というのが趣旨で、賛同する市民の浄財で運営を賄う」、そうである。(東京新聞10月23日付)

◆千住ねぎに救われた

 ジャンルは違えど、農業を営むことは、それ自体が地域問題への果敢な取り組みである。
 身勝手なインタビュー相手に直前キャンセルを喰らい、憤懣やるかたない心を抱えながら乗り込んだ新幹線。社内誌『ひととき』の"千住ねぎ"にまつわる記事は、忌ま忌ましい思いを忘れさせてくれた。
 「千住ねぎは香りが清らかだし、ツーンとくる辛味は癖になる。煮たり焼いたりすれば甘くとろける。僕は、子供のときから大好きだから、ねぎ屋に生まれて本当によかった」と語るのは、ねぎ問屋「葱膳」の四代目田中庸浩(つねひろ)氏。
 そもそも千住ねぎは江戸以来、農家が種採りしながら固有の遺伝子を伝えてきた固定種である。昭和40年代から一代雑種(F1、交配種)が普及し、固定種のねぎは希少品となる。四代目を継いだ2003(平成15)年頃から、先代たちが大切にしまっていた千住ねぎの種を栽培し、販売するという夢に向かって走り出す。やっと探し求めた協力農家は足立区の内田夫妻。夫妻による「江戸千住葱」は今年1月に三度目の収穫を迎えた。田中氏は2月半ばに浅草神社に奉納。その日は収穫感謝祭で、抜き立てのねぎを焚き火で焼き、ふき味噌や柚子味噌で味わうそうだ。よくぞ農家に生まれけりの醍醐味か。
 この記事、ねぎに留まらず、農業全般の奥深さとともに、都市農業に関わる人たちの矜持を伝えている。

 

◆練馬区で世界都市農業サミットが開催される

 10月20日に岡山大学農学部で『この都会の真ん中に!生産緑地で展開される元気な都市型農業』というテーマで講義が行われた。講師は、東京都八王子市で牧場などを経営する磯沼正徳氏と東京都練馬区で農園などを経営する白石好孝氏。タイトルに偽り無しの骨太の話であった。
 その白石氏が実行委員に名を連ねる「世界都市農業サミット」が、2019年11月29日から12月1日の日程で、練馬文化センターをメイン会場として開催される。
 開催計画によれば、我が国においては、2015(平成27)年4月に都市農業振興基本法が制定され、都市農地は宅地化すべきものから、都市にあるべきものと位置付けられ、大きな政策転換が図られた。世界に目を転じれば、ニューヨークでは、若い女性を中心に自宅の畑で野菜を収穫するライフスタイルが注目され、ロンドンでは、2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックを契機に市民農園を2,012か所整備する目標を掲げ、約2,500か所が開設された。この注目すべき流れの中で、大都市の中に農地が存在し、農業が産業として営まれている練馬区は世界的にも稀有な存在、とのこと。
 都市農業のメッカとも言うべき同区が、
(1)都市農業の存在意義や魅力に関する認識が世界で共有され、都市農業の今後の発展につなげること
(2)都市農業に関するネットワーク化と情報共有が進み、新たな取組を広げること
(3)都市農業に対する誇りと意欲が高まること
 の3項目を柱に、「農業が融合する都市の魅力と可能性を、国内はもとより世界に発信する」ためのサミット開催である。
 なお、世界都市農業サミットの開催に向けた区民などの機運醸成といったねらいから今年11月24、25日にプレイベントを実施することになっている。
 一つの区が主体的にやるところに意義があるとはいえ、狭い日本、農業全般のありようを探るうえでも、極めて有意義な取り組みである。多くの農業、農協関係者の参加を勧めたい。

 

◆"野党の遺賢"への期待

主な農政テーマへの評価 【小松泰信・地方の眼力】

 今日(24日付)の日本農業新聞には同紙の農政モニター1035人を対象に行った、10月上旬の意識調査(回答者707人)の結果が載っている。
 まず、安倍内閣については、「支持する」37.2%、「支持しない」62.5%。不支持の理由は、第一位が「安倍首相を信頼しない」43.0%、第二位が「食料・農業重視の姿勢が見られない」32.4%。政権運営の謙虚さについては、第一位が「全く謙虚でない」46.5%、第二位が「あまり謙虚ではない」31.3%。8割近くの人が謙虚とは思っていない。
 安倍内閣の農業政策についても評価は低い。「どちらかといえば評価しない」39.7%、「全く評価しない」33.7%、合計値を「評価しない」とすると、73.4%が評価していない。
 同様に、主な農政のテーマごとの評価を「評価する」「評価しない」で表に示した。これによれば、「輸出拡大の取り組み」がやっと5割を超えているだけで、ほかのテーマの評価は極めて低い。
 また、次期の食料・農業・農村基本計画での重視すべき課題として、「生産基盤の維持・強化」38.9%、「農村の振興」27.4%、「食料自給率の向上」26.4%の順。どれも捨てがたいとする農業者の意向が現れているが、残りの選択肢である「農業の競争力強化」は7.1%で、農業者には支持されていない。
 官邸主導での農政改革に対しても「評価できない」が81.5%、「評価できる」はわずか5.0%。
 さらに、農政の立案、検討に際して役割発揮が期待されているのは「生産者、消費者、学識者らでつくる農水省の審議会」の80.3%。「規制改革推進会議などを含む首相官邸」は三つまで選択可能にもかかわらず、4.8%。もう終わっています。
 しかし支持する政党は、「自民党」44.0%、これに「支持政党はない」34.5%が続く。農政で期待する政党は、「自民党」38.2%、これに「期待する政党はない」34.4%が続く。そして、来年夏の参院選挙における比例区での投票する政党は、「決めていない」37.3%、これに「自民党」34.9%が続く。浮動票は多い。
 "野党の遺賢"によって、大いなる不満を抱える農業者の声なき声に応えた、農業政策の早急なる立案と締結が求められている。
 「地方の眼力」なめんなよ

 

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小松泰信・岡山大学大学院教授のコラム【地方の眼力】

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