コラム 詳細

コラム:リメイクJA

【城山のぶお】

2019.03.08 
【城山のぶお・リメイクJA】第28回 組合員の判断一覧へ

 自民党が4月の統一地方選挙で掲げる重点政策で、JAの准組合員の事業利用規制の在り方について、「組合員の判断に基づくものとする」と明記するという。
 この問題については、すでに平成30年6月の全中主催の政策要請集会で、二階俊博幹事長が、JA信用事業の農林中金の代理店化や准組合員の事業利用規制については、「押し付けるつもりはない。組合員が判断すればよい」と見えを切っている。
 また、8月には党の農林合同会議で、同趣旨の決議を採択している。自民党の見解は、言うまでもなく選挙対策用のものだ。こうした、自民党の見解に、JA内では、一種の安ど感さえ漂っているが、これこそまさに自民党の思う壺といって良い。
 准組合員の事業利用規制については、平成28年4月施行の改正農協の附則で法施行から5年間、正・准組合員の事業の利用状況やJA改革の実施状況を調査し「検討を加えて結論を得る」と定めている。
 自民党が選挙対策のリップサービスとして、いくらこの問題を組合員の判断といっても、規制問題自体がなくなるわけではない。JA出身の自民党議員の中には、これは自民党として大変な決断であり、事実上の棚上げを意味するなどと話す者もいるが、こうした発言などは一重に選挙を有利に導こうとする誠に無責任な発言だ。
 組合員の判断について、どのように考えればよいのか。自民党はこの問題について、さすがに今後規制がかけられることはない、などの安請け合いはできない。そこで苦肉の策で出てきたのが組合員判断ということだろう。
 この問題について、JAの中に、まさか事業利用規制については組合員が判断すればよく、組合員がノーといえば規制はかけられないなどというとのん気な判断をする人がいるのだろうか。
 もし本当にそのようなことであれば、JAは准組合員を説得して規制がかけられないようにすればいいだけの話で、このように大騒ぎする問題ではない。
 そこで考えられるのが、いくつかの内容をセットにして自主選択を迫るやり方だ。JAは、准組合員制度を持つことで地域のインフラとして重要な役割を果たしていると主張している。
 だが多くの地域でインフラが整い、JAは必ずしも必要不可欠な存在ではなくなってきている。そこでインフラ未整備地域以外は規制をかけたいが、それを受け入れるかどうかは、組合員の判断に任せたい。規制を逃れるには、(1)農林中金の代理店になる方法、(2)期間を区切って信用組合など他の協同組合や株式会社に転換する方法がある。いずれかを選択せよ。
 例えばこのようなことが考えられるのではないか。このうち、JA信用事業の代理店化については、もしこの道を選べば、形式上JAは農協法上の制約がなくなり、信用事業については、准組合員の事業利用規制ばかりでなく、員外利用制限さえなくなる。
 ついでに言えば、農林中金の代理店になれば公認会計士監査をJAとして受けなくてよいことになることは周知のことで、このことを見越して代理店になるかどうかは、組合員の判断と二階幹事長は言っている。
 このように、自民党の言う組合員の自主判断は、無条件ではなく様々な言い逃れを前提としたものであることをはっきり自覚しておいた方が良い。
 また、いくら自民党の力が強いといっても、国民的理解の得られないものは、約束してもすぐに反故にされることにも留意が必要だ。
 公認会計士監査に移行するにあたって、「准組合員の事業利用規制についての組合員判断」などとともに、自民党で次のような大仰な決議が行われた。
 「平成31年9月までに会計監査人監査への移行が円滑になされるよう、農協の監査費用低減に向けた系統の主体的な取組を支援するとともに、改正農協法の配慮規定に基づき農協の実質的負担が増加しないよう、上記支援措置の効果等を踏まえ、必要な措置を講ずること」(農協改革の推進に関する決議-平成30年8月24日:自由民主党農林・食料戦略調査会、農林部会、農協改革等検討委員会)。
 だが、このことに関する後の農水省の見解は、「監査の負担を税金で補填できない。モラルハザードは生じさせない」という実にあっさりしたもので、事実上意味をなさないことになっている。
 まして、准組合員問題はJAの帰趨を決める重要問題で、今後この問題について自民党は精一杯頑張ったが所期の目的を達成することができなかったでは済まされない問題だ。
 この問題が最終的にどのような形で決着するかは予断を許さないが、少なくとも国民的理解を得られない主張はいくら自民党が頑張っても無理な相談で、官邸はすでにそのことを見越しており、都合よく規制改革推進会議を使ってくるだろう。
 このように考えれば、今一番大切なことはJAとしてこの問題をどのようにとらえ、どのような対策を打ち出すかにある。その内容は、JAの保身であってはならず、農業者・農家・消費者の目線に立った国民的理解を得るものでなければならない。
 准組合員は制度として与えられているものであり、これに規制をかけるのは許されないとしてひたすら既得権益の擁護に腐心し、なおかつその解決を自民党に丸投げするなどがJAの基本戦略であるとすれば、それは必ず敗北する。
 このことは、終始内向きの対応姿勢という点で、同じような経過をたどった郵政事業の分割で証明済みのことではないのか。

 

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

城山のぶおのコラム【城山のぶお・リメイクJA】

一覧はこちら

このページの先頭へ

このページの先頭へ