【森田実の政治評論】第25回参議院議員選挙を日本政治再生への跳躍台にすべし2019年6月27日
「広く会議を輿し万機公論に決すべし」(五ケ条誓文)
◆無気力な政治家は去れ!
最近の政治家の無気力が気になるのは私だけでしょうか。マックスウェーバーは政治家に必要な資質として、情熱、洞察力、社会的責任感の三つをあげましたが、特に情熱なき政治家は無価値です。情熱なき無気力な政治家は政界から去るべきです。
この夏、第25回参議院議員選挙が行われます。世代交代も進みます。無気力な、政治家魂を失った議員は退場させるべきです。もしも衆議院議員選挙が行われるという事態が起これば、無気力な衆議院議員は退場させるべきです。
政治家には少なくとも次の三つの資質が必要です。一つは倫理面で人一倍優れていることです。倫理面で劣る者は政治家になる資格はありません。二つは知性の面で優れていることです。三つは「忠恕の心」を持っていることです。「忠恕」とはただひたすらに人民大衆を愛することです。人民大衆への憂いなき者は政治家になってはいけないのです。
来るべき参議院議員選挙において、われわれ国民は、政治家に「喝」を入れなければなりません。
◆安倍内閣と政権党の課題
安倍政権全体が無気力に見えるのは私だけでしょうか。長期政権のおごりが出てきているように私には見えます。大臣、副大臣、政務官、キャリア官僚たちは、内閣総理大臣と総理官邸の方だけをみて仕事をしているようにみえます。国民の方を向いていないのです。
与党議員の多くは目の前の仕事だけに関心を持ち、中長期の課題に無関心です。
政府与党の課題は多々あります。活発な議論を興すべき時ですが、議論らしい議論は行われていません。
世界も日本も大きな変化期にあります。中長期のビジョンを議論すべき時ですが、議論らしい議論はありません。政治家には未来ビジョンを国民に示す責任がありますが、政治家自身が未来ビジョンに無関心であれば、どうにもなりません。猛省を促したいと思います。
◆野党は大同団結を!
「野党の指導者の諸君!君たちは何をしているのか」と言いたくなっています。
衆議院議員選挙があるかもしれないという時になっても大同団結せずに、分裂状態を続けていますが、これでいいのでしょうか? 今こそ、無条件で大同団結すべきです。政策の一致は必要なことですが、これ以上に大切なことは、無条件大同団結です。本当に団結できれば、政策上の調整は難しいことではありません。
現在の衆議院議員の選挙制度は「小選挙区比例代表併立制」です。野党がバラバラでは勝負になりません。野党は議会制民主主義の守り神にならなければなりません。このためには野党は大同団結すべきです。今直ちに野党一本化をはかるべきです。そうすれば参院選で勝つでしょう。
◆政策上重視すべき課題
いま、日本の政権が取り組むべき第一の課題は「平和を守ること」です。日本政府は全力を挙げて平和外交を展開すべきです。米中の協調、米・イラン関係の緊張緩和につとめるべきです。
第二の課題は「家族・家庭」の再建です。最近の「少子化」や「田舎の限界集落化・無人化」の原因は、「家族・家庭」の崩壊に起因しています。日本農業の衰退の主原因も「家族・家庭」の衰退の結果です。
現在の人間社会の基本組織は、家族と企業と政府の三つです。人類は長い間、大家族主義、地域家族主義、企業家族主義を貫いてきました。しかし、資本主義の発展とともに、家族・企業・政府のバランスが崩れました。「家族主義」が衰退し、企業主義が拡大し過ぎたのです。こうして三者のバランスが崩れた結果、人間社会の弱体化が進んだのです。「家族・家庭」これが人間社会の基本なのです。
最近、農業を企業化しようという経済学者らの主張が目立ちますが、これほど愚かなことはありません。家族農業、協同組合農業の拡大発展こそが農業と田舎の復活の道です。
第二次大戦後、大家族制が崩れ小家族が主流となりましたが、これが人間の社会を弱体化させました。今こそ大家族制を復活させるべきです。地域家族主義、企業家族主義も復活させなければなりません。
第三の課題は「アジア運命共同体」の体制づくりに取り組むことです。第二次大戦期のような軍国主義的なアジア共栄圏は大きな過ちでした。今目指すべきは「平和・協調のアジア」です。
以上の課題について、大議論を興すべきです。とくに日本とアジアと世界の未来ビジョンの議論を始めるべきです。
本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧ください。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日