【森島 賢・正義派の農政論】文政権の岩盤支持層2019年9月30日
文在寅政権が、検察から激しい攻撃を受けている。先日、新しく任命した曹国法相が家宅捜索を受けた。まさしく、検察の政治介入である。
曽法相は、文大統領のもっとも近い側近で、後継者ともいわれている人物である。つまり、文大統領の本人に対する攻撃ではなく、政権の中枢部を狙った攻撃である。しかも、嫌疑は曽法相の本人ではなく、家族に対するものである。
儒教的色彩が色濃く残っている韓国社会とはいえ、家族はそれぞれが独立した人格をもっているし、責任ももっている。だからといって、もしも嫌疑が事実なら、家族の一員である曽法相も少しは責任があるだろう。しかし、それは検察が追及すべき法的な責任ではなく、社会的な責任だろう。
韓国の国民は、どうみているか。国民の意見を、世論調査でみてみよう。文政権の支持率は、曽法相問題で一時急落したが、その後は回復している。何故か。


上の2つの図は、最近の文政権の支持率を示したものである。
ここで注目したいのは、検察の激しい攻撃にもかかわらず、また、一部のマスコミの痛烈な非難にもかかわらず、50%近い支持率があることである。韓国の国民は、寛容なのか。
やや詳しくみよう。第1図は、世代別の支持率で、第2図は、職業別の支持率である。
この2つの図をみると、30歳代と40歳代、そして、いわゆる知識層に、堅い支持層があることが分かる。岩盤的な支持基盤といっていいだろう。30歳代とホワイトカラー層の支持率は、50%を超えている。
一昨日は、この若者たちが呼びかけて、文政権を支持し、検察に抗議する80万人の大規模な抗議集会が、ソウルで行われた。
この層は、寛容なのか。そうではないだろう。文政権の政治を強く支持しているのだろう。
◇
ここで、文政権の政策をみてみよう。
文政権は、2016年の若い人たちのローソク革命で、保守派の朴槿恵政権を倒した後にできた政権である。だから革新派の政権である。どの点が革新的か。
主な内政では、最低賃金の大幅な引き上げ、鉄道の民営化に反対、脱原発などがある。また外交をみると、対日は、史上最悪の状態にある。対北は民族の悲願である南北統一、対米は対等な関係、対中は関係強化を目指している。
これらの政策が、岩盤支持層から強固な支持を得ているのだろう。それは、法相問題などでは揺るがない不動な支持になっている。
こうした流れは、東アジアの歴史的潮流を変えるだろう。それを韓国の農業者は、どうみているか。そして、日本は、この潮流の中で、どのような立ち位置に立つのか。それが、歴史から厳しく問われている。
(2019.09.30)
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(前々回 岐路に立つ東アジア)
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