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【森島 賢・正義派の農政論】新型肺炎対策の非科学性2020年3月30日

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【森島賢】

 日本の新型肺炎による死亡者数は、他国と比べて極めて少ない、という非科学的で誤った評価がある。この評価を自民党の厚労族の幹部が、TVで再三にわたって述べている。政府の対策の成功、と言いたいのだろう。これは、聞き捨てならない。
 もしも仮に、これが誤りでなく事実なら、高く評価すべきことである。しかし、この幹部が評価の裏付けにしている死亡者数は、政府が捏造したものである。つまり、事実に基づかない非科学的な評価である。だから、政府の対策を誤りに導くことになる。看過できない。

国別新型肺炎の死亡者数と感染者数

 上の表は、新型肺炎の死亡者数と感染者数を、国別に示したものである。
 日本をみると、死亡者数は他国と比べて桁外れに少ない。この幹部は、この数字のことを言っているのだろう。死亡したか否かを間違える筈がない、と言いたいようだ。
 しかし、この表に示している感染者数が少ないことは無視している。ここに、この評価の致命的な誤りの原因がある。政府の対策を誤らせる原因であり、政府の対策への科学的な批判を封じ込める悪質な欠陥であり、世間を欺くものである。

◇ 

 この表で示した日本の感染者数は、実際の感染者数から遠く離れた数字である。これは、政府が少なくみせようとして、検査を極端に少なく制限している結果である。いわば、政府公認の感染者の数である。この他に、検査を拒否された政府未公認の感染者、いわば隠れ感染者が山ほどいる。だから、これは捏造した数字といっていい。これは、このコラムの前号で示したように、日本の検査数が他国と比べて極端に少ないことから推定できる。
 だから、この表で示した日本の死亡者数が他国と比べて桁外れに少ない理由は、極めて少ない政府公認の感染者のうちでの、政府公認の死亡者の数だからである。この他に政府未公認の死亡者が山ほどいる。この未公認死亡者は、毎年9~10万人いる肺炎による死亡者のなかに隠れているのだろう。(あらためて、ご冥福を祈りたい。)

 ここで銘記したいのは、WHOのテドロス事務局長の「検査、検査、検査」という連呼である。それに続けて、感染者の隔離の励行を各国に求めている。
 これに対して日本は、醜い言い訳をするばかりで、この要求に応えていない。そして、政府の対策の成果として、死亡者数が少ないことを誇示しようとしている。

 

 ここで政府がなすべきことは、検査の充実による感染者の早期発見と、隔離の励行である。そうして、感染者の重篤化による苦痛と、死亡への懼れを最小限に抑え込むことである。病苦に苛まれ、死に慄く感染者を快方へ向かわせることである。そこに政府が持っている全ての力を注ぐことである。
 このために、専門家に協力を求めることは、醜い言い訳ではない。実態の全貌を明らかにして、重篤化と死亡を避けるための科学的な方策の提案と、他用途薬剤の転用の可能性の早急な検討と、治療薬とワクチンの早期開発である。
 いま専門家がなすべきことは、こうした治療法の早期開発である。そのための検査体制の充実と、隔離の励行と、今後に必要とされる隔離体制と治療体制の万全の準備についての、政府に対する提言である。事実と科学に裏付けられた提言である。国民に対する集会や外出の自粛の要請だけではない。

 

 この集会や外出の自粛の要請は、共同体規制を利用したもので、法的規制ではない。
 共同体規制は、農村共同体に起源をもつもので、いまでも効力をもっている。それは、明文化された罰則のある法的規制ではなく、また、明文化された補償をともなう法的な規制でもない。人々の心の中に入り、人々が充分に納得した上で規制を促すものである。だから「自粛」と言っている。「禁止」とは言わない。
 ここで言っておきたいことがある。いつも、共同体規制は時代遅れの、否定すべき社会的規制だとして法治主義を唱え、某国を中傷する人たちが「自粛」と言っている。このことに違和感がある。この人たちの法哲学を、じっくりと聞いてみたいものだ。

◇ 

 もう1つ言っておきたい。オーバーシュートとか、ロックダウンとか、カタカナで宗主国の言葉を使う植民地根性は、心ある多くの国民から顰蹙をかっている。このことを恥ずべきである。
 そして、いま専門家に求められていることは、政府の対策への賛美ではない。専門家が、政府の対策の成功を言い募ることで、感染爆発が起きたときの初期対応の遅れが懸念される。このままでは、事態は最悪の方向へ向かうかもしれない。そのことに専門家が、重要なワキ役を演じるのかもしれない。

◇ 

 最後に、農業・農村の研究を志す初学者に教え込まれる言葉を、教訓として紹介しておこう。
 それは、農村調査での心構えだが、「ゴミのような資料の中からは、ゴミのような研究結果しか出てこない」、というものである。「Gabage in, Gabage out」、が原語だが、最近では省略して GIGOというらしい。
 政府が発表する新型肺炎の資料は、まさにこれに相当するようなゴミの山である。ここからは、ゴミのような分析結果しか出てこない。
 これまで述べてきたことは、この戒めの教訓である。

                     (2020.03.30)


(前回  肺炎列島の予感

(前々回 調査なくして発言権なし


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