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官製コメ現物市場でまともな価格形成が出来るのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2021年8月31日

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コメ先物市場への本上場を不認可として先物市場を閉鎖に追い込んだ農水省が、今度は現物市場を作るそうである。先物市場を無しにして現物市場作りに乗り出すという政策の整合性を問い質す方が間違っていると言われかねないので、まずは農水省が目指す現物市場での価格形成がどのようなものになるのか予想してみたい。

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自民党の提言を受けて農水省は今年度中にコメの現物市場の制度設計が出来るように検討会を立ち上げる。検討会のメンバーもほぼ確定しており、当初、今月30日にも開催する手はずであったが、これには間に合わず、第一回目は来月に開催される予定。なにせ来年3月までには市場としての姿を示さなければならないのだから忙しい。ただし、司令塔になるべき農水省も新事業・食品産業部が担うのか農産局が担うのかもはっきりしておらず、主催する側の体制もしっかりする方が先決と言う状態。また、検討会のメンバーも生産、集荷、流通、需要者から選ばれるため「市場」そのものに対する認識も違い、しかも市場を運営できるだけの力量をもった人物は入らないため議論百出になりまとまらない可能性が高い。

ただ、官主導の現物市場は過去にもあったので、それがひとつのたたき台になるだろう。その市場とは平成23年に閉鎖されたコメ価格センターである。なぜ閉鎖されたかと言うと「平成16年の食糧法改正により米の流通が自由化されて以降は、売り手(集荷団体等)にとっては上場メリット、買い手(卸等)にとっては入札による調達メリットが感じられなかったことにより同センターを通じた取引数量は激減、結果平成23年3月末をもって解散したところ」とその理由がコメの安定取引研究会の資料に記されている。

この市場は当初、法によって義務上場が課せられており、各産地経済連は自産地の主要銘柄を場に晒す必要があり、買い手の卸はそれに対して数量や価格を記した札を入れて成約するという手法が取られていた。最盛期の平成10年代には100万トンも成約していたのだから、まさしくコメの価格形成の場であった、と言いたいのだが、その実態はまともな市場とは言い難いものであった。当時、日比谷線神谷町駅近くに在った価格センターの隣には光明寺というお寺があった。本当の成約価格を知るためには昼時に光明寺に行く必要があった。なぜなら応札された価格から産地側がいくら値引くかの交渉が携帯電話を使って盛んに行われたからである。

この方式は売り手の産地側にとっても買い手のコメ卸にとっても好都合であった。産地側にとっては場に晒した自県産銘柄が売れ残ってしまう事態は何としても避けなければならず「完売」を目指した。一方のコメ卸側は、量販店等と白米の値入交渉をするときには価格センターで決定した玄米の価格をベースに交渉するため、実際の仕入れ価格がそれよりも安ければその分自社の利益になる。そうした裏事情を実現するために光明寺で盛んにキックバック交渉が行われていたのである。

そして起こるべくして起きた事件が全農秋田問題である。全農秋田は売れ残りを避けるために懇意な卸に入札での札入れを依頼、あとで買い戻すという手法を取り入れたほか、年度末に売れ残った玉をブローカーを使って捌いた。このやり取りで当時の課長が贈賄の罪で逮捕されてしまったが、これは個人的な罪で済ますような問題ではなく、構造的な問題であったことはこの価格センターでの取引手法をみれば明らかである。

改正食糧法で義務上場が廃止される前に天の声が降りて来て、単位農協が直接売り手になるように画策され、そのための第一弾として単独上場に意欲を示していた東北の某農協と価格センターの幹部の会合が日本橋で行われたが、この農協は大規模な詐欺事件に巻き込まれ、担当専務以下全員が責任を取って辞めてしまい日の目を見ることはなかった。

こうした過去の教訓があるのでまさか価格センターと同じような現物市場を作るとは思えないが、ではどのような現物市場が必要なのか?

第一には自由で公平な市場でなくてはならず、かつ、政策との整合性が求められる。一つには売り手の参加条件のハードルを引き下げる必要があり、単位農協だけでなく、大規模稲作生産者も単独で売り玉を出せるようにすべきである。そうすることによって大規模生産者も販売先の一つとして市場を捉えられる。さらには現物だけの取引の場ではなく、1年先までの先渡し取引も可能にすることが求められる。先物市場が無くなった現在、先行きの価格が分かるような市場がないと稲作生産者の経営判断が出来ない。そして何よりも形成された価格はオープンにすることである。最低でもこれだけは実現してほしい。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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