シンとんぼ(141)-改正食料・農業・農村基本法(27)-2025年5月10日
シンとんぼには農業の持続的発展と食料の安定供給への切なる思いがあり、この思いが一日でも早く実現されることを願いながら、今後の農業を占う様々な事項についてして持論を展開している。現在、2024年6月に改正された食料・農業・農村基本法をしっかりと学び、同法を理解した上で農業関係者が何をしなければならないのか思案を巡らせている。実際の具体的な内容については先日(4月11日)に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」をもとに詳細を検討することになるが、改正法全体の理解を深めた上で、基本計画の内容を検討したいと思うので、もうしばし条文の内容把握をすすめたい。今回は第二十五条だ。
第二十五条は国際協力の推進をテーマにしたものである。
その内容は、「国は、世界の食料需給の将来にわたる安定並びにこれによる我が国への農産物及び農業資材の安定的な輸入の確保に資するため、開発途上地域における農業及び農村の振興に関する技術協力及び資金協力、これらの地域に対する食料援助その他の国際協力の推進に努めるものとする。」となっており、旧法の第二十条に「(世界の食料自給の将来にわたる安定)並びにこれによる我が国への農産物及び農業資材の安定的な輸入の確保」が追加されたものだ。
要は「海外の開発途上地域に技術的・資金的な国際協力を推し進め、それによって安定した食料生産基盤をつくり、日本へ食料や食料生産に資する農業資材を安定的に輸入できる供給ルートにしておこう」ということなのだろう。これは諸刃の剣でもあるので、開発途上地域と日本とそれぞれがウインウインの関係となるように慎重かつ丁寧にすすめて欲しいものだ。
第二十五条で第二節が終了し、第二十六条からは第三節に入る。
第三節は、農業の持続的な発展に関する施策が示されており、非常に興味のある部分だ。
その始めに記されているのが第二十六条で望ましい農業構造の確立がテーマになっている。
その内容は、「国は、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立するため、営農の類型及び地域の特性に応じ、農業生産の基盤の整備の推進、農業経営の規模の拡大その他農業経営基盤の強化の促進に必要な施策を講じるものとする。」となっている。
この条文は旧法と変わっておらず、要するに「いわゆる大規模農業経営体のさらなる規模拡大や経営基盤の強化に向けて施策を講じていく。」と大規模農家への集約化を目指すという従来の方針は変わっていないようだ。実際には大規模経営体の規模拡大にも限界がきているため、大規模農業経営体の更なる拡大よりも、小~中規模経営体の大規模化に力がそそがれていくことになるのではないかとシンとんぼは思っている。
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