シンとんぼ(22)事業系食品ロスを2000年度比で半減(2050)④2022年12月10日
シンとんぼは、農業現場でも十分に実践が可能で、環境影響が正しく低減され、国産農産物の生産が向上して、国民の胃袋を国産で賄える状態になることを切に願いつつ、「みどりの食料システム戦略」のKPIに切り込んでいる。前回から3つ目のカテゴリー「食品産業」を検証しており、KPIとして掲げられた「事業系食品ロスの減少」、「食品製造業の労働生産性向上」、「飲食料品卸売業の経費の縮減」、「持続可能性に配慮した輸入原材料調達」の4つについて順に検証している。
今回は、まず「飲食料品卸売業の経費の縮減」を検証してみようと思う。飲食料品卸売業の経費のうち食品ロスに大きく影響する経費って何だろう。卸売業なので、売れ残った商品を廃棄する廃棄費用を減らすことに尽きるのではないか。このKPIを達成しようと思えば、何よりも正確な需要予測のもと、売れる分だけの製品を仕入れて、計画的に売り切ることが必要になる。そうすると、需要予測が上手くいったときにはKPIを達成できて、予測が外れた時は食品ロスが増えてしまうこともあるわけだ。であれば、経費の縮減を目指すよりも需要予測的中率向上の方が食品ロス軽減のための目標としては適切なような気がするがいかがだろう。
次に「持続可能性に配慮した輸入原材料調達」だ。これは、個別指標で上場食品企業におけるという前書きがあるのだが一体何だろう? 上場の食品企業は、多くの国で事業を展開し、多くの国や地域から原材料の輸入を行っている。原材料の輸出国は、原材料の生産から加工までの全ての工程で温室効果ガスやプラスチック廃棄物の排出、食品ロスが発生するなど、環境や社会に対するリスクを負っているのだ。例えば、輸出のためのインフラ整備を行うために、森林破壊や泥炭地の開発が行われ、それに伴って水資源や土壌の汚染、生態系の損失が起こり、持続的な食資源の維持が困難となる場合もあるのだ。このKPIの意味は、輸出国側が環境影響を減らし、持続可能な範囲で食品原材料を生産して輸出してくれるように配慮しながら、海外原料を輸入するように努めることが食品ロスの削減にもつながるということらしい。ただ、食品ロスを減らすためには、日本側の正確な需要予測に基づく、計画的な原料輸入を行うことが必要になるので、ここでも本質は正確な需要予測に基づく原料の輸入ということになりそうだ。
こうして検証してみると、結局のところ、製造する食品や原料の特性によって食品ロス回避策が異なるので、例えば、生産部分のロスには目をつむるが流通の部分でのロスを減らす方策を立てようなどと、製造する商品ごとに原料の生産から加工、流通まで全体を見通した対策やKPIを立てた方が実効性もあがるのではないかと思うのだがいかがだろうか?
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