職場の「課題共有」と職員の行動変革!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2023年5月16日
朝礼後の"ハイタッチ"で劇的な職場変化
WBC(World Baseball Classic)での日本代表の優勝後、朝のNHK衛星放送のニュースタイムは、大谷選手のエンゼルスの大リーグ中継が居座っている。定番の国際ニュースは、メインチャネルを追いやられている。
ところで、大リーグ中継で、試合開始前のベンチ内の映像が興味深い。試合が始まるまで、ベンチ内はハイタッチとグータッチの嵐である、それも、同じ選手同士で。もちろん、試合中もホームランやタイムリーヒットを放った選手とは、全員がハイタッチをするし、試合後も勝利の場合は、列を成してハイタッチ。
顔の高さでのハイタッチは、顔が上がり、相手と向き合い目を見る、自然と笑顔が生まれ、元気が出る、という。ハイタッチは、手が触れあうことで、幸せホルモンが分泌される。こんな雑誌記事を25年前に読んだ。これは、朝礼向けにいいのではないか、と考えた。
私は当時、ある地域銀行のコンサルに出かけており、そのモデル支店で、朝礼終了後に、職員のハイタッチをやろうと提案した。支店長は何でもチャレンジ派で、やってみることにした。なんと、それが大好評で、数か月後には他支店にも広がった。
この成功体験を、JAの中央会主催の支店長・センター長研修などで紹介し、その方法まで支店長たちと一緒に集まって体験してもらってきた。以前にも書いたと思うが、沖縄県や関東の多くのJAの支店長が取り組んだ。20年ほど前のことである。
とにかく、サービス業は「顧客接点」が明るく、元気で、笑顔が基本である。不思議なことだが、ハイタッチをワイワイ言いながら7秒から10秒続けてみたら、その瞬間、職員の表情や態度が激変することに驚く。職員は、直後にデスクに向かい仕事をするのだから、姿勢まで変わる。この劇的な変化は、本店からの指示でやるのとは違う。だから、研修のなかでは、「やってみようと思ったら、研修後、すぐに支店で実施することをお薦めします」と話している。現在も続いているJAもある。
共有する「目標と課題」、すぐできる職員行動の変化
朝礼は円陣を組み、客待ちスペースや事務室で行い、自分のデスク前に立って行なわない。直径4m程度の円陣で、参加者の目が見える、声がはっきり聞こえる範囲、15人以上は2班などに分ける。朝礼では、全員が声を出して、身近で短いスピーチをする(30秒以内)などのルールをつくること。
朝礼の最大の目的は、一日頑張れる高い元気度、健康度にあることを、お互いが目と声で確認することだ。赤い目をした二日酔いや熱の高い元気不足は困る。このような職場のルール化を自主的に定着させたいものである。
このコラムの読者で、QCサークル活動を知っている人は少ないだろう。全国のほとんどのJAが取り組んだ職場の小集団活動、いわゆる業務の品質改善運動である。この運動は、全中や県中央会が旗振りして、全国のJAがQCサークル活動に取り組んだ。取り組みの内実はともかく、5年以上も続いたところもあったが、1年でほどやめたJAや連合会もあった、上からの方針や指示での職場改革は定着しない。
現在のJAは、広域化し、支店数も増え、経営規模は異なる。一律に目標を定め、全支店で同じ課題に取り組む時代ではない。支店を地域性や事業規模などの多様な項目で3~5グループに分け、「店質別管理」を行うのが現実的で、効果的だ。重要なポイントは、支店の「現状、問題、課題」を職場内で共有することである。各種のデータ、数値から主要な要素のデータを共有することだ。それを、現場の支店が主体的に考え、課題の共有化に取り組む状況をつくることである。
まずは、支店の事業、経営、経営環境の変化を現実の数値で確認できる「支店カルテ」のような指標を作成すること。それをもとに、わが支店はどんな問題を抱えているか、改善課題は何か、を共有する機会、場をつくることである。本店や本部は、店舗のグループごとの取組み課題メニューを作成し、支店での場づくりのきっかけ、道具を紹介して、支店長や支店の職場リーダーの行動をし易くすることである。本店と本部に、その知恵とアイデアがなければ、毎日、支店巡回を行うことである。
もう一つ、支店の職員の行動変革をどうすすめるか? 支店長研修会で聞かれる定番の質問だ。私は、支店長が指示したり、教導するのではなく、自らの行動を意識的に変えることを勧めている。それは、つぎの2つを意識して行動すること。
①事務所内でも外でも、歩くスピードを早くする
②事務所内では職員を呼ばずに、用があれば職員のもとへ出向くこと
職員が支店長の行動変化に気づいたら、意識改革より行動変革の実践を、職員と一緒に話し合いをしてみることである。
※当社がJAのコンサルティングで活用してきた「支店カルテ(ひな型)」を無償で提供しますので、下記のメールフォームでお問合せください。営業活動ではありませんので、ご質問もお寄せください。
◇
本コラムに関連して、ご質問、ご確認などがございましたら、お問い合わせフォーム(https://www.jacom.or.jp/contact/)より、『コラム名』を添えてご連絡ください。コラム内又はメールでお答えします。
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