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【JCA週報】一世代を経て:『レイドロー報告』再考#2(イアン・マクファーソン、訳:和泉真理)(2010)2023年6月12日

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「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中代表理事会長、副会長 土屋敏夫日本生協連代表会長)が協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、当機構の前身であるJC総研が発行した「にじ」2010年春号に、イアン・マクファーソン氏が執筆された「一世代を経て:『レイドロー報告』再考」です。
ボリュームの関係から9回に分けて掲載いたします。途中で他の掲載を挟んだ場合はご容赦ください。

一世代を経て:『レイドロー報告』再考#2/全9回(2010)
イアン・マクファーソン(ヴィクトリア大学名誉教授)
訳:和泉真理、監修:中川雄一郎

はじめに(#1)
1.レイドロー報告考察の2つの論点
(1)世界的に異なるレイドロー報告の影響とその背景(#1)
(2)レイドロー報告の影響力の源泉
①それまでの協同組合研究の課題(#1)
②異なる世代間に橋を架けたレイドロー報告(#2)
③2つの教訓の提起(#3)
④世界的視点から物事を考察したレイドロー(#3)
⑤在来型の協同組合管理手法への疑問(#3)
⑥協同組合運動に参加する市民の能力への確信(#4)
⑦協同組合教育の重要性(#4)
2.変化するグローバル社会における協同組合の位置づけ(#5~#7)
3.レイドロー報告の最も重要な部分一第V章「将来の選択」一(#7)
おわりに(#8、#9)

1.レイドロー報告考察の2つの論点

(2)レイドロー報告の影響力の源泉

②異なる世代間に橋を架けたレイドロー報告
レイドロー報告がある程度の影響力を維持し続けているのは、(少なくとも3世代に及ぶ)異なる世代の間に橋を架けるレイドローの類(たぐい)まれな能力の故である。多くの人びと、多くの著述家たちは、自らの世代や自らが最も活躍した時代一おそらく30歳から60歳にかけての世代一に深く結びつけて考えるものである。このことが、社会や政治において、またしばしば協同組合の内部においても、一つの世代から次の世代へと移行することを難しくしてしまう原因の一つである。自らの時代に関与しつつも、過去との結びつきを維持し、それを未来へと繋(つな)げられる人は数えるほどしかいないであろう。レイドローは、それを継続的にかつ効果的に実行した数少ない一人なのである。

1908年に生まれ1980年に亡くなったレイドローは、彼自身の世代のみならず、その前の世代やその後の世代とも奥深い、発展的な関係を保ってきた。彼は、1930年代初めの青年時代に、ノヴァ・スコシアの聖フランシスコ・ザビエル大学で協同組合、成人教育それにコミュニティ開発について学んだ。

そこでの彼の「先輩たち」、特に最も卓越した三人のアンティゴニシュ運動の指導者であったモーゼズ・コーディ(1882‐1959年)、J.J.トンプキンズ(1870‐1953年)、それにAB.マクドナルド(1893‐1952年)から彼が得たものは大きかった。彼は、その著書や講演の中で彼らの功績を繰り返し讃えている。

レイドローは、彼の先輩たちやその他の多数の男女と同じように、聖フランシスコ・ザビエル大学の伝統、とりわけそのエクステンション(公開教育)部門で創り出されてきた伝統に基づく教育を受けただけでなく、1944年から1958年にかけてこのエクステンション部門での教育活動にも従事している。レイドローは、この大学とのつながりを絶つことなく、その地域以外の地で、すなわち、最初は「カナダ協同組合連合会」で、次いで「協同組合住宅プログラム」の展開を促進するためにカナダ政府で働くようになっても、彼の「ノヴァ・スコシアの知性の源地」へしばしば戻った。

彼がアンティゴニシュにおいて繰り返し探究した運動の理念の影響はレイドロー報告の中にはっきりと見て取れる。特に、農村社会への関心、安全な食料の重要性についての認識、そして地域コミュニティの持続可能性への献身といった課題・論点のすべては、アンティゴニシュ運動の伝統における基本的な事項でもあるのだ。そしてこの時期に、レイドローは初めてカナダ以外の国々の協同組合運動を深く理解するようになったのである。彼は、特定の地域についていかに考えるかを学んできたことによって地球的規模で物事を考えるようになったのである。

さらに、彼は、かつてアンティゴニシュにおいて積極的に活動したので、協同組合運動の初期段階につきまとう高揚や複雑さに馴染んでいた。それは、彼が1950年代にアジアを中心に頻繁に旅行するようになり、世界の多くの国や地域で何度も目にしたプロセスであった。彼は、創設者たちが人とコミュニティを動かしていく際に直面する困難さをよく知っていたし、また創設者たちの働きがもたらすであろう興奮や達成感についても知っていた。いかなる協同組合や協同組合運動においても、その最も感動的な瞬間は草創期に起こるものである。

**「アンテイゴニシュ運動」は聖フランシスコ・ザビエル大学の一レイドローも学びかつ従事した一エクステンション(公開教育)部門と関係がある。
「くらしと協同の研究所」の中嶋陽子氏は、関係資料を「聖フランシスコ・ザビエル大学のエクステンション部門ディレクターのトム・ウェッブ氏へのインタビュー形式で再構成して」次のように記している。

同大学は、キリスト教聖職者を養成する大学であると同時に「開かれた大学」として地域社会の改革・改善に関わってきた実績を蓄積してきた。この実績は「大学がその活動領域を地域へ拡張し働きかけること、つまりエクステンション部門の原点を示している。言い換えると、深刻な社会問題に直面した時、宗教家・大学人としての情熱や使命に自ら応えようとした人たちが、実社会と宗教・教育機関との架け橋を作り、地域社会の改革に乗り出す」のである。そこでその有効な手段・方法として協同組合が用いられることになったのである。「実践の中心を担ったのは二人の神父・大学人で、彼らの献身は多くの実を結んだ。訪問者も絶えることなく、(1929年の)大不況期を通じて大学は広く世間に知られるところとなった」。

この運動は、この地方名を採って「アンティゴニシュ運動」と呼ばれるようになった。「以来、アメリカ合衆国も含め北米で広く協力関係が続いている。現在、大学と協同組合の連携は、コープ・アトランティックがエクステンション部門に関して学長に助言をするという形になっている」のである(中嶋陽子「東カナダ地域社会一協同組合一大学:協同組合の一つのありかたをさぐる」『人モノ地域1』1999年4月号)。

(続く)

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