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諦めません勝つまでは【小松泰信・地方の眼力】2023年6月14日

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「マジ詭弁平和のために戦争す 取手 崩彦」(仲畑流万能川柳・毎日新聞6月6日付)

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地対空誘導弾パトリオット(PAC3)をめぐる「不都合な真実」

6月10日からの2泊3日、民主団体が企画した辺野古・与那国・石垣連帯行動に参加し、南西諸島への自衛隊配備を強行し「防衛の空白を埋める」という、いわゆる「南西シフト」が急速に展開していることを実感した。

このような動きを背景として、沖縄2紙(琉球新報、沖縄タイムス)は「南西シフト」問題を社説で幾度も取り上げている。

琉球新報(6月6日付)は、駐屯地でもない石垣市南(ぱい)ぬ浜町の新港地区という、多数の港湾労働者らが働いているところで自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が展開され、警備の自衛官が小銃を携行していることに、「軍事が日常に入り込み、生活を圧迫する事態は許されない」と怒りをあらわにする。

「5月25日には韓国が国産ロケットを打ち上げ、小型人工衛星8基の軌道投入に成功した。北朝鮮同様、南向けに発射し、沖縄の上空を通過した。韓国は22年にも打ち上げており、21年には軌道投入に失敗した」が、「Jアラートも破壊措置準備命令も出なかった。今回、PAC3が台風を理由に石垣島では展開せず、宮古島と与那国島で発射機を畳んだままだったのも、自衛隊に発射するつもりがなかったからではないのか」と、政府にとっての「不都合な真実」を教えている。

共同通信の取材に、ある防衛省幹部が「北朝鮮による発射を奇貨とし、台湾有事を想定して部隊を動かせた」と本音を語ったことや、別の幹部が「地元調整も含め、有事の際のスムーズな対応につなげる『地ならし』になった」と自賛したことから、「先島でもPAC3の常駐化を狙っているのだろう。脅威をあおって要塞(ようさい)化を進めていると考えざるを得ない」とする。

また、「与那国町の祖納港で県の港湾使用許可を得ないまま車両が陸揚げされた」「与那国空港では県はやむなく例外的に運用時間外の使用を認めた」ことなどから、「なし崩しで民間施設の軍事利用が進められている」と告発する。

「北朝鮮の発射の日、県民への現実の脅威は台風2号だったが、テレビがJアラートを報じていた間、台風情報を得ることができなかった。また県民にとっては、米軍機などによる落下物などの方が日々そこにある危険だ」と、県民の生活目線を強調する。

沖縄タイムス(6月8日付)は、「一体、いつまで何のために、政府はPAC3を離島に展開し続けるつもりなのか。過去に破壊措置命令が実行されたことは一度もない。北朝鮮の核・ミサイル開発は軍事的圧力を強めるだけでは止められない」と訴える。

問題は諦めさせる構造にあり

沖縄タイムス(6月7日付)は、明星大学の熊本博之教授(社会学)らの研究グループが、昨年沖縄県内14市町村在住の有権者3800人を対象に行った調査結果を紹介する。回答数は1053人。

「県内の軍事基地は有事の際に攻撃対象になる」との意見に対し、「そう思う」「ややそう思う」と肯定した人は83%。「中国の軍事力増強は、日本にとって安全保障上の脅威である」との問いに賛同する意見が8割を超えたことなどから、「南西地域で強まる軍事的な緊張に対し、8割以上の県民が懸念を抱いていることが明らかになった」とする。

また、世代間の意識のずれも改めて示されたことにも注目している。

「沖縄に米軍基地が集中しているのは不平等である」との問いかけに賛同したのは、65歳以上で8割を超えたが、34歳以下では54%にとどまった。

さらに、名護市辺野古の新基地建設が沖縄の基地負担軽減につながらないという認識はどの年代でも大きな差はなく6~7割だったが、「建設が止まる可能性は低いので、やむを得ない」と考える人は49歳以下の世代で約5割と目立って多かったことから、「重要なのは、高齢層と若年層の意識のずれを放置してはならないということだ。世代間距離を放置せず乗り越えることが県政の大きな課題だ」とする。

琉球新報(6月7日付)も、「基地反対運動は無意味」との設問に65歳以上の59%が否定的だったが、18~34歳の55%が賛同したことから、「基地に対する市民運動への評価は厳しい」とするとともに、「若い世代ほど基地問題に対する『諦め』が広がっていることも示した」とする。

これに関し、熊本教授は「諦めている人が悪いのではなく、諦めさせる構造自体が問題だ」と、正鵠を射る。(小松注;与那国島の集会では、「シニア層の方に『諦め』が広がっており、若い世代から不満の声があがっている」との発言があった)。

さらに調査で、「沖縄の問題について県外の人には『理解されないと感じる』が8割に達した」ことが紹介されていたが、これについてはそのとおり、と答えるしかない。

地域(自治体)外交に希望

「東アジアの緊張緩和を目指す県の地域外交が本格始動した」で始まるのは沖縄タイムス(6月4日付)。

玉城デニー知事は4月、知事公室特命推進課に新たに地域外交室を設けた。地域外交キックオフの場となったのは韓国の済州島で開かれた「第18回済州フォーラム」。そこで、照屋義実副知事が基調講演し、沖縄が東アジアでの地域間の信頼醸成と緊張緩和を目指し「21世紀の万国津梁を構築する」と宣言した。このフォーラムは、東アジアの信頼構築を目指し外交安保分野を中心に経済、環境教育、女性問題、地域開発をテーマに2001年から開催されてきた大規模な国際会議とのこと。

済州特別自治道の呉怜勲(オヨンフン)知事が「覇権国家は地政学的な競争に走り出している」と国家外交のみに頼ることを疑問視。中国・海南省のバ・トゥール秘書長もこれに同調。3カ国の地域が地域外交の有用性で一致したことを報じている。さらに、県は呉知事との会談で、済州島が主導する「グローバル平和都市連帯」への加入にも合意した。

「東アジア情勢が複雑化する中で、米軍と自衛隊の共同訓練は激化。広大な米軍基地はそのままに先島諸島への自衛隊配備が強化されている。地域外交でも県民が望む基地負担軽減へ道筋を描くべきだ」とエールを送る。

この取り組みを「自治体外交」と表現する琉球新報(6月5日付)も、「軍備増強は緊張を高めるだけなく、偶発的な衝突を招きかねない。『外交と防衛は国の専権事項』との主張もあるが、『有事』が起きた際に真っ先に紛争に巻き込まれる恐れのある沖縄県は、自ら自治体外交を展開することで、平和と地域の安定構築に取り組むべき立場にある。(中略)『台湾有事』が叫ばれる現在、対立を深める国家間の対話を促す上で、自治体外交の果たす役割は大きい。人的ネットワークや連携を通じて、それぞれの自治体がそれぞれの政府に緊張緩和や紛争回避を働きかける世論形成につなげてほしい」と期待を寄せている。

戦争したがる政治家は、沖縄県の外交努力を学ばねばならない。国民は、「南西シフト」の愚かしさに気づかねばならない。

「地方の眼力」なめんなよ

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