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古木通してイタリアの地域文化と環境守る ローマ在住ジャーナリスト・茜ヶ久保徹郎【イタリア通信】2023年6月17日

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イタリアの古木協会(Associazione Patriarchi della Natura)は、地球の健康状態や生物の多様性、美しい風景、そしてイタリアの田園文化の証人である古木を通して地域の文化と環境を守ることを目的に設立され、土地の自然、田園文化の価値を知ってもらうためのプロモーションを行っています。

「Castagno dei 100 cavalli:100頭の馬の栗の木」

「Castagno dei 100 cavalli:100頭の馬の栗の木」シチリア州 推定樹齢2000年以上で周囲50m、樹高17m。世界で一番古い栗の木と考えられている。14世紀後半にナポリの女王が100頭の馬と雨宿りしたのが名前の由来と言われる

イタリア全土の木にまつわる歴史や文化、風景、コミュニティなどに注目し、特に古い果物の木やその種類、イタリアの伝統的な料理に注意を注いでいます。そしてイタリアの古木1万3000本のデータを管理し、常に更新しています。

ローマの郊外に、古代のアッピア街道とアッピア新街道に挟まれた古代ローマの元老院議員Quintili(クインティーリ)の屋敷跡があります。当時のローマでも最大と言われたこのヴィッラ(邸宅)には浴場や円形競技場もあり、剣闘士の戦いも行われていました。

Quintiliの屋敷の遺跡Quintiliの屋敷の遺跡

その一角に協会と文化財省が協力して作った、全国で絶滅の可能性のある昔の果物の古木の接ぎ木で作った苗木を植えた「イタリア統一古木庭園」があります。

イタリア統一古木庭園イタリア統一古木庭園

樹齢1000年以上の古木は気候の変化や害虫などのストレスに耐えてきたので、人間によって収穫を増やしたり、味をよくしたりするために改造された品種と違い、環境に適応して生きており、その遺伝子を研究することは重要です。気候の変化に強い未来の植物となる可能性を持っています。

協会に救われた樹齢100年以上のリンゴの木。一緒に写っているのは筆者協会に救われた樹齢100年以上のリンゴの木。一緒に写っているのは筆者

協会のセルジョ・グイディ(Sergio Guidi)会長は、活動について次のように話してくれました。
「私がこの活動を始めたのは、健康や環境にやさしい昔からの果物の木が失われていくことに気が付いたからです。これらの木の一つの種類でも失うことは我々みんなが貧しくなることです」
「イタリアには我々が果物の古木から作った『植物の多様性』の果樹園がいくつかあり、Cesenate(中部イタリアのアドリア海沿いの町)には、海から200メートルの砂地に洋ナシ、リンゴ、プラムの果樹園があり、元気に育っています」
「私が行っている活動は日本など他の国でも必要なことだと思います。それぞれの土地の農業の歴史と発展に結びついた種類の木は気候変動に対応するために欠かせないものです。今後日本の農業関係者と交流を図り、20年に渡る我々の活動を知ってもらい、ともに発展することは意義あることだと思います。私たちが管理している古木をお見せしたいと思います」

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