【今川直人・農協の核心】高まる農協経営者の役割2023年12月9日
農協のシェア低下の三つの要因
2020年農林業センサス結果によると、農業経営体の販売金額第1位の農産物の出荷先は農協が64・3%となっている。前回センサスで前々回から1・0ポイント下がり、今回は前回より1・9ポイント下がっている。
農協のシェアの低下は二つの農業政策と食生活の変化の三つを誘因としている。
政策の第一は自主流通米制度(1969年)導入から食管法廃止(1995年)に至る米流通の規制緩和。もう一つは食料・農業・農村基本法(1999年)による農業構造改革の進展(規模拡大)である。自主流通制度発足時96%を占めた米の集荷シェアは現在5割台で推移している。
「農業法人白書」(日本農業法人協会)の販売先別の割合(取扱額の割合が最も高い販売先を集計)によると、農業法人の農協系統への販売比率は、各部門とも農水省統計(総合農協統計、生産農業所得統計)から割り出した部門別農協利用率(全国平均)を下回っている。とくに野菜、果実の集約型農業(高収益)部門の農協利用割合は2割以下である。野菜は小売店、果実は直売が最多である。
食生活の変化は、米の消費減退、畜産物と油脂の消費増大である。高いシェアを持つ米の消費量が長期にわたり減少し、加えて米自体の農協シェアが低下した。一方、消費が拡大したのは畜産と油脂である。得手であった米が縮小し新興の畜産物が食卓の大きな部分を占めるようになってきたのである。
「運動家」から「経営者」へ
シェアは、国内農産物の取り扱いシェアである。輸入増大で国内市場が縮小したが、農協は国際競争ではなく国内競争において苦戦を余儀なくされてきたのである。この事実は、挽回の可能性を意味している。
50年ほどの昔、年配者の間では今も時々名前の出る農協のリーダーが、農協の経営者像を「財務諸表の読める運動家」と言い表わした。現在、競争相手の戦略・戦術は当時よりはるかに進化している。
2015年改正農協法は、理事の過半を「認定農業者・農産物販売のプロ等にする」ことを原則としている。農業依存度の高い組合員の参画、販売に精通している人材の学経登用等を想定しているのであろう。経済事業の活性化による大規模農家の農協への(再)結集のための一つの有力な対策であろう。求められているのは経営手腕である。
「自己完結」の意義を
多店舗を展開する業態では本部と加盟店、本店と支店の役割が明確になっている。対して、農協組織では単協(一次組織)が必要に応じ連合会(二次組織)を利用することとなっていて、単協の独自性のゆえに両者の領域は固定的でない。
現在、他業態の攻勢の激化に伴って連合会への期待が総体的に高まっている。シェア競争の主戦場であるビジネスモデル(製品・サービスに関する事業戦略と経営戦略)の開発などについても連合会への期待が高まっているように見受けられる。しかし、これは本来、単協の領域である。連合会の補完機能は技術的分野が主体である。具体的ニーズに直面しているのは単協である。農産物や組合員構成の地域性がより鮮明になり、単協が大規模化している現在、単協の戦略構想を含む機能の自己完結の意義が重みを増している。
舶来のものを含めて多店舗展開している他業態のビジネスモデルは、一つの店舗での成功に端を発している。
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