シンとんぼ(85)食の安全とは(43)肥料・飼料等2024年3月16日
令和3年5月12日に公表された「みどりの食料システム戦略」をきっかけに始まったシンとんぼは、前回から内閣府の食品安全員会が継続して実施している食品安全モニターに対する意識調査結果をもとに、食の安全に対する意識の変化を探っている。調査には15個(2022年度)の“食品の安全性の観点から感じるハザード(不安要因)”みついて、モニターの方が不安を感じるかどうかをハザードごとに調査した結果が示されている。前回までに2004年の8個の調査項目を紹介したが、2007年の調査では、これらに「ゲノム編集食品」、「器具・容器包装からの溶出化学物質」、「肥料・飼料等」の3つが加わった。これらは、2004年以降に発生した新たな事件(?)の発生に伴い、新たなハザードとして認識されたものだ。今回は「肥料・飼料等」を紹介する。
このハザードは、追加された2007年に5.0%を示したものが5年後の2012年には7.8%、さらに5年後の2017年に3.2%、直近の2022年でも6.1%と、5%前後の数値になっている。
「肥料・飼料等」は直接人間が口にするわけではないので、なぜ食の安全が気になるのであろうか? それは、肉骨粉などの動物蛋白が作物の生育を促す優秀なタンパク源として肥料や飼料に使用されていたからである。肉骨粉は、牛などの脳脊髄組織を乾燥・粉砕して製造し、BSE発生の前までは、肥料として畑に散布したり、貴重なタンパク源として家畜飼料の中に混ぜて肥育効率を上げたりするために使用されていた。
ところが、BSE(牛海綿状脳症)を引き起こす原因である異常タンパク質(プリオン)が牛の脳脊椎組織にあることが判明したことから事態が一変することになる。なぜなら、有機質肥料や飼料の中には、牛の脳脊髄組織そのものである骨粉を原料に含むものが多かったためである。
このため、肉骨粉を含む肥料を経由して人間が異常プリオンを摂取することになる可能性や、飼料を通じてBSE罹患畜が拡大し、異常プリオンが人に感染する機会が増えるのではないかとの懸念があり、肉骨粉の使用が全面的に中止された、特に肥料としては、肉骨粉が安価で優秀な有機質肥料であったため、農業生産に大きな影響を与えた。
食の安全を優先するためには疑わしきものは罰する方式もある意味必要だとは思うが、もし安全である裏付けが整った際には速やかに軌道修正するような柔軟性も必要だと思うのがいかがだろうか?
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】とうもろこしにアワノメイガが多誘殺 早めの防除を 北海道2025年7月1日
-
【人事異動】農水省(7月1日、6月30日付)2025年7月1日
-
作況指数公表廃止よりもコメ需給全体の見直しが必要【熊野孝文・米マーケット情報】2025年7月1日
-
【JA人事】JA岡山(岡山県)新会長に三宅雅之氏(6月27日)2025年7月1日
-
【JA人事】JAセレサ川崎(神奈川県)梶稔組合長を再任(6月24日)2025年7月1日
-
【JA人事】JA伊勢(三重県) 新組合長に酒徳雅明氏(6月25日)2025年7月1日
-
米穀の「航空輸送」ANAと実証試験 遠隔地への迅速な輸送体制構築を検証 JA全農2025年7月1日
-
JA全農「国産大豆商品発見コンテスト」開催 国産大豆を見つけて新商品をゲット2025年7月1日
-
産地直送通販サイト「JAタウン」新規会員登録キャンペーン実施2025年7月1日
-
7月の飲食料品値上げ2105品目 前年比5倍 価格改定動向調査 帝国データバンク2025年7月1日
-
買い物困難地域を支える移動販売車「EV元気カー」宮崎県内で運用開始 グリーンコープ2025年7月1日
-
コイン精米機が農業食料工学会「2025年度開発賞」を受賞 井関農機2025年7月1日
-
「大きなおむすび 僕の梅おかか」大谷翔平選手パッケージで発売 ファミリーマート2025年7月1日
-
北海道産の生乳使用「Café au Laitカフェオレ」新発売 北海道乳業2025年7月1日
-
非常事態下に官民連携でコメ販売「金芽米」市民へ特別販売 大阪府泉大津市2025年7月1日
-
農作物を鳥被害から守る畑の番人「BICROP キラキラ鳥追いカイト鷹」新発売 コメリ2025年7月1日
-
鳥取県産きくらげの魅力発信「とっとりきくらげフェア」開催 日本きのこセンター2025年7月1日
-
鳥インフル 英国チェシャ―州など14州からの生きた家きん、家きん肉等 一時輸入停止措置を解除 農水省2025年7月1日
-
新潟県長岡市から産地直送 フルーツトマト「これトマ」直送開始 小海工房2025年7月1日
-
埼玉県毛呂山町、JAいるま野と包括連携協定を締結 東洋ライス2025年7月1日