(408)技術と文化・伝統の引継ぎ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月3日
以外と余り知られていないかもしれませんので、少しまとめてみました。
コメを作る場合、いかなる作業が必要か。これは昔の人には当たり前でも、都市部に住む現代人には想像がつかない。味や価格の違いに敏感な消費者の多くは、水田のイネが食用のコメとして提供されるまでに、どのような作業が行われてきたかはほとんど未知の世界である。以下は、農業未経験の筆者が理解している簡単な流れであり、あくまで参考程度として頂きたい。
1. 秋耕:「しゅうこう」。秋に収穫が終了した後に、田に残る稲わらや稲株などをすき込む。冬前の気温が高い時期に実施することで土壌中の有機物の分解が早く進む。翌年のための下準備である。
2. 畔作りと耕起:「あぜづくり」と「こうき」。最初に田の周りに、水田の水が漏れないように畔(あぜ)といういわば土手を作る。その後、田の土を起こして柔らかくする。時期は地域により異なるが、一般的には冬を超え、気候が安定する3~5月くらいが多い。
3. 代掻き:「しろかき」。田んぼに水を入れた後、土を砕いて均等にする作業である。水漏れ防止と土を柔らかく均等にし、苗を植えやすくするためである。「代(しろ)」は大昔の田の区画である。
4. 育苗:「いくびょう」。苗床で稲を育てる。方法は時代とともに変わり、現在では機械移植に適した形になっている。筆者も大昔、「苗だし」を手伝った記憶がある。
5. 田植え:「たうえ」。地域と気候により差があるが、概ね4~6月頃に行われる。東京で育った筆者は小さい頃、「田植え休み」のある地域の子供が単純に羨ましかった。かつての田植え時期には土日祝祭日など人為的な休日は完全に無くなり家族総出で田植え作業が行われていたという。小学生になりそのことを知り、現実を自覚した記憶がある。現代日本では田植えの機械化率はほぼ100%のようだ。
6. 除草・水の管理:かつて大変な労力を要したのが除草である。現在では農薬の活用などにより大きく労力が削減した分野である。また水田の場合、根腐れ防止や土中の有害ガスを抜くために「中干し(なかぼし)」という水抜き作業があることなどから、生育段階に応じて水の深さを調整する必要がある。
7. 追肥:「ついひ」。稲の生育段階に応じて、不足する栄養分を補うために実施する。タイミングと種類、量などの適切な実施が重要である。
8. 病害虫防除:生育中の稲を病気や害虫から守るための適切な管理を継続的に実施する。
9. 水抜き:収穫の準備として水田の水を抜き、稲の乾燥を早めるために実施する。
10. 収穫:実った稲を刈り取り、乾燥させ、脱穀する
以上、ここでは10段階に分けたが、細かい手順や確認を含めるとこの何倍ものチェックポイントがあると考えられる。一度しっかりと調べてみたいものだ。
さて、こうした内容をスマート農業の視点からとらえなおして見るとどうなるか。
例えば、秋耕と耕起をロボット・トラクター(とりあえず有人機)で行い、苗床の移植と田植え(播種)を自動運転田植機または高速高精度汎用乾田播種機で行う。また、ドローンとセンシング技術を活用し、防除と農薬散布を実施する。さらに、GPSを活用したレーザー照射によるリアルタイム生育計測結果で追肥場所と内容を特定し、可変施肥機によるピンポイント施肥を実施する。水はもちろん自動水管理システムで管理する。生育状態その他については統合的な営農管理システムを用いる。育った稲は自動収量コンバインで収穫する...、というのがいわゆる平場で規模拡大がなされた水田でのスマート農業のイメージであろう。恐らく最終的にはAIがこれら全てを管理するのかもしれない。
それにしても、全てをそろえると費用はいくらか、中山間地の水田にはどこまで活用できるか...、と稲作素人の疑問は尽きない。
* *
これで技術は次世代に引継がれたとして、稲作に関わる文化や伝統などはどうなるか、そのあたりもよく考えておく必要がありそうです。
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