(420)「いまトラ」をどう見るか【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年1月31日
2期目のトランプ政権が始まりました。これからどうなるか、多くの人々が関心を持ちながら過ごしているのではないでしょうか。
さて、トランプ政権で穀物「価格」はどうなるか。これは正直なところわからない。なぜなら現在の国際穀物市場は最終的には需要と供給で価格が決まるからだ。もちろん、政治的な判断や影響力のある人物の発言により、一時的に価格は動く。だが、最終的には落ち着くところに落ち着く。
冷めた目で見れば、世界の穀物需給は昨年より明らかに引き締まりそうである。小麦・コメ・粗粒穀物・油糧種子の合計生産量は約35億トンだが、合計期末在庫は前年末よりも2,277万トン減少見込み、これが、本年1月10日の米国農務省の見通しである。
政治的な変動や災害、さらに投機資金の大量流入など無くても、昨年より今年は需給がやや引き締まる。万が一これらが生じればさらに逼迫する。これが今後1年間の見通しである。もちろん、日々のマーケットはそう簡単ではなく、その時々の攪乱要因で一時的には大きく変動するが、基本的な傾向は押さえておきたい。
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それにしても、トランプ政権は「派手」である。本人の嗜好は別として、マーケットを見る際は、その背景に何があるかを見ておく必要がある。「派手」さに振り回されるのはやむを得ないが、政権が誰になろうと近年の米国に継続して存在する問題を押さえておかなければ対処方法を誤るからだ。 恐らく...だが、米国は貿易赤字を何とかしたい、これが本音のひとつではないか。元ビジネスマンのトランプ大統領としては、この点は避けて通れないであろう。気前よく貿易赤字ビジネスを続けている訳にはいかないからだ。
米国の視点から見れば、「財(goods)」の貿易赤字が多い国の筆頭は中国である。これにEU、メキシコ、ヴェトナム、日本、カナダなどが続く。
ただし、このままだと各国が入り乱れているため事情がわかりにくい。EUは2位だが、内訳は貿易赤字の多い順にドイツ、アイルランド、イタリアなどに分かれている。こうした中で米国から見て一番悩ましいのは、1位の中国を別とすれば南北の隣国であるカナダとメキシコであろう。
なかでも何とかしたいのはメキシコだ。この隣国には米国の自動車メーカーだけでなく、日本の自動車メーカーも進出し、生産した車を米国に輸出している。2023年のメキシコでは、現地の日系自動車メーカーは現地生産の大半、少ないところでも半分程度は米国向け輸出のようだ。
こうしたことを考えると、「派手」なパフォーマンスの下に隠れた米国としての問題意識が少しは見えてくる。
これらの国からの輸入に高関税をかければ報復措置として米国産輸出も同様の扱いを受けることは2018年の米中貿易摩擦の時に経験済である。そして、過去のわが国の歴史を振り返れば、自動車や機械の輸出が問題になった際には、食料輸入の壁が切り崩されてきたことも一定以上の年齢の方は体験として理解しているであろう。これも教訓である。
1981年当時の米国の貿易収支も赤字であったが、その時は赤字に占める日本の割合が7割を超えていたため強烈な日本叩きが起こった。今回は同様なことがまずカナダとメキシコで生じたと見るのが妥当であろう。 だからと言って、日本が安泰な訳ではない。自国の輸出が不振になれば、同盟国であっても強硬手段に出てくるか、あるいは応分の負担を要求されるであろうことは想像に難くない。あとはその内容の問題である。
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防衛費も可能性がありますが、日本の食料と農業の将来を考えれば、国内自給の可能性向上・継続のためにも再び農業が矢面に立つのは避けたいところですね。
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