多党制は比例代表制選挙で【森島 賢・正義派の農政論】2025年8月4日
●多党制が始まった
前回の参院選の結果は、日本の政治体制の、多党制への移行が、本格的に始まったことを示しているのではないか。それは、昨年10月の衆院選での与党半数割れのときから始まっていた。
これは、国民の意思である。この意思は、大政党の自民が、安定政権の維持、という名の下で、右から左まで、多様な政治家の集団だったことに対する批判である。国民は、政党に対して、鵺のように顔は猿、胴体は狸という集団ではなく、猿なら猿、狸なら狸という集団であってほしい、という意思を表明したのである。
このことは、各党に対して、旗幟を鮮明にせよという要求である。そして、これは、与党の自民党に対してだけの要求ではない。多くの野党に対しての要求でもある。せめて大同小異という程度にならないものか。
このことは、いまの選挙制度への痛烈な批判でもある。
●各政党を歪める小選挙制
いまの選挙制度をやや詳しくみてみよう。
それは、2大政党制を目ざした小選挙区制度を中心にした制度である。これは、大政党にとって有利である。第3党は当選しにくいからである。第3党以下の全ての政党にとって、不利な選挙制度だからである。
しかし、国民の政治的意思は多様化している。それに応じて政党も多様化し、多党化している。それが、いま始まった。
このままで、小選挙区制を中心にした選挙制度を続けていけば、多くの国民の政治的意思を政治に反映しにくくなる。議会制民主主義の危機である。
小選挙区制に代わるものは何か。それは比例代表制である。この制度なら、四捨五入の範囲内の誤差で、国民の政治的意思を忠実に選挙結果に反映できる。したがって、政治に反映できる。議会制民主主義が生き返るだろう。
●比例代表選挙こそが国民の意志を反映する
先日の参院選は、どうだったか。
初めに、国民の政治的意思を忠実に反映する比例代表の結果である。第1党は自民で12人が当選した。定員50人のうちの24%である。これが、多様化した国民の意思を正確に表した選挙の結果である。
これに対して、国民の政治的意思を最も歪める小選挙区のうちの1人区の結果はどうか。第1党は同じ自民だが、定員32人のうち14人が当選している。44%である。これは、国民の意志から遠く離れたものである。
このように割合でみると、24%と44%だから、約2倍の差がある。このように、小選挙区制は歪んでいる。これでいいのか。いいはずがない。どうすればいいか。国民の意志に密着した比例代表制にして、糾さねばならない。
●連立政権の政策協定を明示せよ
多党化のばあい、1党独裁は不可能になる。連立政権になる。それでいいのだ。その時に重要なことは、ボスどうしの談合ではない。各政党が政策協定を結んで合意しあうことである。そうして、国民の前に示すことである。
それは、目先の利益だけで合意することではない。単細胞の生物のように、目先の甘い餌ににじり寄ることではない。軍事費を増やしても減らしてもどうでもいい、農業予算を減らしても増やしても、どうでもいいというものではない。どの方向へ向かって日本の未来を切り拓くか、が重要である。
(2025.08.04)
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