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ぞうさん♪ぞうさん♪本当に作れるの?【小松泰信・地方の眼力】2025年8月20日

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8月5日、石破総理は第3回米の安定供給等実現関係閣僚会議を開催し、米の価格高騰の要因と対応の検証等について議論した。

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「令和の米騒動」は失政から

 議論を踏まえ、石破氏が語ったことの概要は次のように整序される。
(1)小泉農相による米価高騰要因と対応の分析に関する報告は次の4点。
①需要量を見通すに当たって、家計の動向などに立ち返った把握やインバウンド観光客の影響の観点がなかった。
②供給量を見通すに当たっても、玄米ベースのみで精米ベースの観点がなかった。
③こうした点が不十分であるにもかかわらず、生産量が足りていると判断をしていた。
④需給変動を受け止めるだけの柔軟性が流通段階で備わっていない中で、備蓄米放出のタイミングや方法などが適切でなかった。
(2)(1)で示したことが価格高騰を招いてしまった。今後、流通の透明性の確保と適正化を通じ、消費者と生産者が納得できる価格に落ち着いていくことが重要。
(3)生産量不足を真摯に受け止め、需給ひっ迫に柔軟かつ総合的に対応するための政策の方向性は次の6点。
①増産に舵を切る。
②耕作放棄地の拡大を食い止め、農地を次世代につないでいく。
③輸出の抜本的拡大に全力を傾ける。
④生産性の向上(農業経営の大規模化・法人化やスマート化の推進など)、付加価値の向上(消費者ニーズへの対応)。
⑤2027(令和9)年度の水田政策の見直しでは、「米を作るな」ではなく、生産性向上に取り組む農業者が増産に前向きに取り組める支援に転換する。
⑥中山間地域などを守ることも極めて重要。環境に配慮した取組を支援する新たな仕組みも創設する。
 要するに、「令和の米騒動」が長年にわたる自民党農政の失政から生じたことを全面的に認めている。そのお先棒を担いできたJAグループも間接的加害者であったことを素直に認めねばならない。「オトナの事情」といった、聞き飽きた弁解は通じない。

増産も容易ではない

 「増産に舵を切る」という意欲に満ちあふれた言葉に対して、総論として異論を挟む人もメディアもいないはず。だって、主食である米が底をついている訳ですから。
 ただし、総論賛成であっても、各論躊躇であることもまた事実。
 日本経済新聞(8月19日付・北海道経済版)において、樽井功氏(JA北海道中央会会長 、東川町で代々続く稲作農家の出身)は、政府のコメの増産方針への対応について、「遊休農地や耕作放棄地を水田にするのはそう簡単ではなく、相当の労力とコストがかかる。水田を増やすと機械の大型化も求められる。農家人口が減るなか、農地を守るためにも大規模化で作業効率を上げる必要がある」と答えている。
 また、増産による米価の下落が懸念されることについては、「増産で値崩れを起こしてはいけない。農家は2024年の米価がようやく30年前の水準に戻り、ほっとしている」と答えるとともに、「政府備蓄米は10万トン程度しか残っていない。食料安全保障の観点からも、放出した分を海外のコメに頼らず、国産米でしっかり積んでほしい」と、備蓄米についても言及している。

地域に適した多様な対応を考える

 西日本新聞(8月8日付)の社説も「コメは自給できる唯一の穀物だ。政府が増産に踏み切ったことは評価できる。ただし増産するのは簡単ではない」とする。増産によって米価が下落すれば消費者には歓迎される。しかし、生産コストが上昇し、経営が一層厳しくなっている稲作農家には打撃となるため、農家への支援策として「一定の所得補償を検討すべきではないか」と提言する。
 政府が、大規模化やスマート農業の普及で生産性を高める方針を示したことに対しては、「既に進めている政策ばかりで目新しさに欠ける」と一蹴。
 「全国の生産環境は一様ではない。地域事情に沿って多様な手だてを考えたい」として、九州に多い中山間地農業に言及する。農地の集約化や大規模化は難しいが、水田の多面的な機能(棚田は斜面の崩壊を防ぎ、豊かな景観と生態系を形成。恩恵は消費者も受けている)を貴重なものと評価し、「効率が悪くとも、中山間地のコメ作りは生産基盤の維持に欠かせない」と念を押す。
 さらに、「訪日客の動向は国際的な政治や経済の影響を受けやすく、見通しにくい」ことから、「国内の消費を喚起することが肝要だ」として、増産だけではなく、「需要の拡大」にも取り組むことを求めている。

生産者は配慮されすぎているのか

 「増産を求められても、容易に対応できるものではない。安心して農業を続けられる見通しを示すことが先である。信頼を失ったままの農政では、生産者の協力を得るのは難しいだろう」と、厳しい筆致で始まるのは新潟日報(8月7日付)の社説。
 「耕作放棄地になった土地を元に戻すのは簡単ではない」ことと「高齢化」を課題にあげ、「長く続いた生産抑制が離農に拍車をかけたことは否めない」として、「後継者確保のためには、手取りを増やす具体策が欠かせない」とする。
 また生産者が、増産による米価の下落を懸念していることを紹介し、下落時における支援策の明確化を政府に求めている。
 そして、「生産者は農政に長年振り回されてきた。いまも米国からのコメ輸入増といった不安にさらされる。農政の大転換には、まず不安払拭が必要だ」として、「生産農家の声を聞くことから始めるべき」と訴えている。
 当コラムに異論はないが、全国紙、とりわけ朝日新聞と読売新聞は異論を挟むだろう。
 朝日新聞(8月11日付)の社説は、「消費者目線が足りず、生産者の側に偏重した配慮が失政を招いた面はなかったか」と記し、読売新聞(8月6日付)の社説は、「価格下落を招かぬよう生産者への配慮が強すぎたのではないか。消費者目線を欠き、備蓄米の放出の遅れなど対応が後手に回ったことは反省せねばなるまい」とまで記し、農政を批判している。
 地方紙10紙ほどの社説にこのような視点からの農政批判は見当たらなかった。もし、「生産者重視、消費者軽視」という農政であったら、離農がここまで進むことはない。この国の農業がここまで衰退することはない。
 百歩譲って「生産者重視」農政のどこが悪い。農林水産省が、生産者を軽視することの方がよほど問題だ。ねぇシンジロウ。

 「地方の眼力」なめんなよ

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