【スマート農業の風】(18)農水省の進める農業DXとeMAFF農地ナビ2025年9月4日
いまから5年ほど前、農水省が農業DXを表明し準備が始まった。DXとは、デジタルトランスフォーメーションのことで、デジタル化による手続の効率化、データ等の利活用の高度化等を目指すことを言う。農業DXは、農林水産行政におけるDXを一層推進することを目標に進めている。その結果、いままで一般的に閲覧することができなかったほ場の地番情報を含むeMAFF地図とeMAFF農地ナビの提供が始まった。今回スマート農業の風では、スマート農業の要である営農管理システムとの連携を中心に解説する。

eMAFF地図は、農林水産省地理情報共通管理システムのことだ。農林水産省は、デジタル地図を活用して、農地台帳等の農地情報と位置・区画情報を紐づけ、農地の利用状況の現地確認等の抜本的な効率化・省力化などを図るため利用を推進している。農地の位置・区画情報は、農水省が数年前から提供している筆ポリゴンがベースとなるが、eMAFF地図には新しい情報で提供される。
eMAFF農地ナビは、先ほどのeMAFF地図に農地情報を加えたもので、だれでも無料で確認することができる。衛星画像を基にする写真の地図上にポリゴンで農地の形状を表示し、各農地に関する公表情報(地目・面積・地番など)も参照できる。また、地図上で農地を探すだけでなく、絞り込み検索で条件にあった農地を探すこともでき、新規就農や経営規模拡大に向けた検討にも活用できる。これらのポリゴン情報や農地ピン(位置情報)に付属する地番情報は、ダウンロードすることができ、他のサービスで活用が可能だ。いままではほ場の地番を知るすべが少なく、地番情報を基にほ場を探すことが難しかったが、eMAFF農地ナビの登場で幅広く活用できるようになった。
全農の提供する営農管理システムZ-GISは、eMAFF農地ナビからダウンロードした情報を無加工・無修正で見ることができる。PCにeMAFF農地ナビのデータをダウンロードし、起動中のZ-GISにドラッグアンドドロップするだけで表示できる。これはとても画期的で、eMAFF農地ナビの地番情報とポリゴン情報がZ-GISのデータ画面で確認可能となる。地番だけの情報を持っていれば、Excelの機能で突合することも可能となる。いままで地番はわかっているが、ほ場の場所がわからず突合できないと言っていたことが、eMAFF農地ナビのダウンロードデータとZ-GISの組み合わせで、ある程度可能となった。
特にドローンや無人ヘリによる請負散布・農作業の作業請負など、ほ場の場所が具体的にわからない場合でも、地番情報を基にほ場を特定することができる。ただ、すべてにおいて万能ということはなく、eMAFF農地ナビの地番情報は、ひとつの農地ピンに複数の地番情報が含まれる場合や、数字の半角表示、カタカナ表記の大文字小文字の揺れなど、Excelの機能で突合できないものも含まれる。ただ、いままで所有者にほ場の場所を確認するか、ほ場の表記された白地図を参照しながら、突合していた作業がある程度の確率で自動突合できるのは画期的と言える。
eMAFF農地ナビのダウンロード方法やZ-GISでのデータ活用方法については、Z-GISのホームページを参照されたい。ここでは簡単な手順のみ説明する。
まずはブラウザーでeMAFF農地ナビのページを開きダウンロードしたい地域を表示する。その時、倍率は16とし、ポリゴンと地番が両方表示できていることを確認しながらダウンロードのボタンを押す。ダウンロードのファイル形式はGeoJSONでおこなう。ダウンロードが開始されたらブラウザーの指示を受け、デスクトップ等に筆ポリゴンと農地ピンのふたつのデータを保存する。デスクトップ上のふたつのデータを、Z-GISの地図上にドラッグアンドドロップするとeMAFF農地ナビのデータをZ-GISに取り込むことができる。
あらためていうことではないが確認のため説明しておく。Z-GISは有料のアプリケーションのため年間1000円ちょっとの費用が必要となる。その際ID・パスワードの登録も必要となる。この金額では100ほ場の登録しかできないので、ほ場数が増えるにつれ金額は上がっていくが、他の営農管理ソフトに比べればかなり格安と言える。
eMAFF農地ナビのデータをダウンロードする際、市町村単位など広範囲になると複数回の作業が必要となる。その際データが重複するが、Excelの機能で重複データを消去することが可能だ。これらを含め、細かい作業工程は、Z-GISのホームページを参照してほしい。マニュアルも含め作業方法を公開している。
農水省が農業DXを提唱してから数年たった。eMAFF農地ナビの登場により今までできなかった農地地番の参照など、できることが少しだけ増えた。情報の共有化は、スマート農業にとって重要な課題である。今後も農業DXやeMAFF農地ナビに注目し、新たなスマート農業につながることを期待したい。
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