オリーブと広島【イタリア通信】2025年10月25日
イタリアのオリーブ都市協会が広島市にオリーブの木を寄贈。11月11日に平和記念公園に植樹されることになりました。
イタリアをはじめ地中海沿岸の国々で沢山植えられているオリーブはギリシャ時代か平和の象徴。オリンピックが開かれると戦争をストップして参加したギリシャの都市国家。優勝者には金メダルでなくオリーブの冠が与えられました。
そして第2次世界大戦の反省に基づき設立された国連のエムブレムは世界地図を囲む2本のオリーブの枝です。
近くのパレスチナやウクライナで戦争が続き、原爆の使用までが囁かれ、イタリア人は第3次世界大戦の危険を感じています。
オリーブ都市協会はそんなイタリア人の気持ちを代表して、二度と原子爆弾が使われることが無いようにと心を込めて、オリーブの木を平和公園に植えることを提案しました。
オリーブの都市協会ミケーレ・ソンネッサ会長 の話。
オリーブ都市協会のミケーレ会長
「オリーブの都市協会は1994年に設立。現在では19の州にわたって540を超える自治体が加盟しています。
原子爆弾投下から80年の節目にあたり、全国オリーブの都市協会は、平和、民族間の友愛、そしてあらゆる暴力と戦争への反対という市民の誓いを具体的に示す象徴として、イタリア産のオリーブの木を広島市に贈ることを決定しました。
オリーブは地中海文明における最も古く、最も力強い平和の象徴です。宗教的・神話的なイメージの中で、オリーブは「和解」と「再生」を表しています。聖書では、大洪水の終わりを告げたのはオリーブの枝でしたし、ギリシャ・ローマでは、オリーブは知恵の女神アテナに捧げられた神聖な木でした。」
ミケーレさんはローマから350キロほど南の、オリーブ畑や葡萄畑に囲まれた山間の町、ラポッラで町長を務めていました。
この町は「トゥーフォ」と呼ばれる火山灰が固まってできた岩石の山の上にあり、トゥーフォは柔らかくて加工しやすいために、岩山をくりぬいた洞窟の中でワインを熟成してきました。
洞窟のワイン熟成所のフェスタ期間中のレストラン
ラポッラの町はこの洞窟を利用して、毎年「洞窟公園祭り」を開いています。
今年は10月11,12の土日。町には近隣からだけでなく、100キロ以上離れた他州からキャンパーで訪れている家族連れも見られました。
フェスタの会場
フェスタの目的は、世代交代の中で少しずつ失われてきたこの土地本来のアイデンティティ、古き良き中世の村の歴史と文化を取り戻すこと。会場では食べ物だけでなく、音楽までも土地の伝統的なもの。コカ・コーラやハンバーガーなどの販売は禁止されていました。
女性が足で踏みつぶす昔のワイン造り
伝統的なワイン造り「素足でのぶどう踏み」や、昔ながらの乳製品加工、手工芸のワークショップなど、色鮮やかな催しが繰り広げられ、吹奏楽団や民俗音楽のグループが奏でる音楽に包まれながら、土地の人や観光客が楽しんでいます。
フォームの始まり
この地方のオリーブを栽培する農園は家族経営が多く、昔の儘のオリーブづくりが維持されています。
私が訪問した農家はモレッリさんと奥さん、4歳と9歳の男の子ふたりで1000本以上のオリーブの木を管理していました。
オリーブの実をとるモレッリさん一家
とれたオリーブの実はフラントイオと呼ばれる油絞り工場で、昔からの方法である、大きな石臼でオリーブの果実を種ごとを細かいペースト状にし、円形の編み目のある敷物に広げて重ね、その上から圧搾機で圧力をかけて絞ります。
つぶしたオリーブをマットに乗せる
食用油は色々ありますが、そのほとんどは種から採取。熱したり化学薬品を使ったりしていますが、オリーブだけは木の実を絞っただけのもの。いわばオリーブジュースです。
私は20年以上前から、朝食はパンとバターでなく、パンとオリーブオイルです。香りも味も良く、健康にも良い素敵な食べ物です。
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