【いつまで続く? 気候危機】寒波やドカ雪も地球温暖化が一因 三重大学教授 立花義裕氏2026年2月3日
日本海側のドカ雪の夏の間に温度が上昇した日本海の海水温が下っていないことも大きな要因で原因は地球温暖化だという。立花義裕三重大教授が警鐘を鳴らす。

三重大学教授 立花義裕氏
1月以降、日本海側各地では災害級のドカ雪が発生している。青森市内では、2メートル近くの積雪深となった。1月下旬には、札幌市では1日に50センチメートルを越える雪が降り、積雪が1メートルを超えた。これは、札幌での1月として観測史上1位となる24時間降雪量である。
それに伴い、札幌と千歳空港をつなぐ高速道路が長期間閉鎖され、唯一の大量輸送手段であるJRも雪害によって、間引き運転がなされた。雪が早めに止んだ千歳空港は、飛行機の着陸が再開され、航空機が次から次へと着陸した。しかしJRは間引き運転を余儀なくされたために、飛行機を降りた人々で、空港ビルには1万人近くの人々が一夜を明かす事態となった。
JRは終夜そして早朝まで、運転を試みたようで、除雪要員の人手不足の折、滞留者を減らそうとしたJRの努力に頭が下がる。
ドカ雪は、農産物を始めとした物流を止める。雪による高速道路等の閉鎖と車の滞留は、よく知られているが、長距離物流の要である貨物列車による物流も止る。タマネギに代表される北海道からの農産物も滞留する。だから、雪が少ない太平洋側の人々や農業関係者にとっても他人事では無い。日本だけではなく北米でも、希に見る寒波と大雪が続いている。
日本や北米での災害級のドカ雪や寒波襲来を見て、「こんなに寒くドカ雪が降るのだから、地球は温暖化していない」という間違った言説が拡がっている。アメリカ大統領トランプ氏もフェイク拡散者の一人だ。地球温暖化は、夏を暑くし、一部の地域の冬を寒くさせる。それが日本と北米なのだ。
冬の異常気象も夏と同様、その主因は偏西風の激しい蛇行だ。今年をはじめとした近年の冬に見られる典型的な偏西風の蛇行パターンは、東アジア(日本付近)で南へ下がり、アラスカ付近で極端に北へ上がり、再びアメリカ側で南に下がる。そんな波を描く。偏西風は、北極寒気と低緯度の暖気の境目で吹く。だから日本と北米で南下する蛇行パターンは、日米に強烈な寒波をもたらす。このパターンは夏とは正反対だ。
今年の1月は、この蛇行の激しさが増し、北極の寒気が二つに分裂して,そのうちの一つが日本周辺まで大移動した。北極全体の寒気は弱まっているのだが,二つに分裂した寒気が日米の上空にそれぞれがやってきて、そして居座っている。この一因が北極海氷の激減だ。
昨年の北極の海氷面積は、史上最少となった。アラスカ沖の北極海氷の激減によって、アラスカの北の上空の大気は異常に暖かくなり、偏西風は、暖かい海を避けるように迂回させられ、北極点近くまで侵入し、その反動で北極寒気を東西に引き裂いて、偏西風の南北への蛇行をもたらす。
北極上空の寒気が東アジアと北米に分裂するのだ。歯磨き粉のチューブを真ん中で握ると中身がムニュッと両サイドへ分かれるイメージを考えるとわかりやすい。温暖化時代は、冬でも強烈な寒波が押し寄せるのだ。冬の寒波についての詳細な解説は、拙著「異常気象の未来予測」(ポプラ新書,2025年発行)をご覧頂きたい。
そして、日本近海の高温の海が豪雪に拍手をかける。猛暑により、夏に一度高まった海水温はすぐに下がらず、冬まで異常な高水温が持続する。水温が高いと、海からは冬でも水蒸気が大量に海から大気に蒸発する。
この現象は冬に露天風呂に入ると湯気がもうもうと上がることからも想像しやすい。強烈な寒気は、異常に暖かい日本海で水蒸気を大量に吸収して、昔よりも強力な雪雲に成長するので、温暖化でも日本中で豪雪のリスクが増える。海が暖かいから、雪は以前よりも湿っていて重い。だから、雪の重さに耐えられなくなり、倒木が増える。
つまり,温暖化時代の冬は「豪雪の冬」。そして夏は「猛暑と豪雨の夏」。そして長期化する夏。私たちは今、「二季化」の時代に生きている。そのような極端な気象の条件が「整っている」のが日本だ。ドカ雪増加を望む人は皆無だ。二酸化炭素削減は、待ったなしなのだ。
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