加工用もち米制度からコメ政策を考える【熊野孝文・米マーケット情報】2026年2月3日
もち米には制度上一般もち米と生産調整にカウントされる加工用もち米がある。加工用もち米と認定されれば戦略作物助成金として10a当たり2万円、コメ新市場開拓等促進事業に採択されれば10a当たり3万円が助成されることになっている。両方の助成金を合計すれば10a当たり5万円の助成金を得ることが出来る。仮に10a当たり10俵の収量があれば1俵当たり5000円の助成金が得られる。ところが7年産加工用もち米の生産数量は5万3513tで前年産に比べ1万3939t、率にして20%も減ってしまった。減少した原因は主食用米の高騰、それに付随した一般もち米の高騰でそれらに生産がシフトされたことにより加工用もち米の生産が減少した。

加工用もち米制度の前身は他用途利用米制度の中にもち米が位置づけられたことがスタートである。
昭和58年、当時の全国米菓工業組合の剛腕専務K氏と自民党の剛腕政治家H氏のコンビがもち米を他用途利用米制度の中に組み入れることに成功した。その理由付けは当時海外からもち米ミックス粉の輸入が急増、米菓業界もこのもち米ミックス粉を使用するところが増え、これを阻止するために転作作物としてもち米を生産すれば助成金が支給されることになった。
スタート当初は1万2000tであったが、その後、地域流通の名のもとに全農以外にも商社や大手卸が加工用もち米を扱えるようになり、加工用米を使える実需者に包装もち業界も入るなどで年々その数量は増えて行った。
包装もち業界の中でも全餅工は国産米100%使用を謳っており、海外のもちミックス粉を使用するところはなかったはずなのだが、いつの間にか加工用もち米の大口ユーザーになっており、ここでも政治力が発揮された。
産地では各地で他作物に比べ比較的有利な転作作物として加工用もち米を生産するところが増え始めた。中でも大きな産地となったのは秋田県大潟村で、減反反対闘争で揺れた村が加工用もち米を生産することによって一転して減反割り当て面積を100%以上達成する村に変貌した。
大潟村で加工用もち米が生産されるようになった当初、JA大潟村のM組合長は加工用もち米を大潟村に根付かせるために並々ならぬ意欲を見せていた。それは、もち米が加工用米制度に組み入れられることによって減反が達成されることになり、減反順守派と減反反対派の融和が図れるという狙いがあり、実際そのように進んだ。ただ、初年度に全国米菓組合と行われた加工用もち米の価格交渉は難航した。大潟村は何としても「10a当たり14万円の所得」が最低限の額であるとして譲らなかった。
交渉の末、物流と代金決済を担う大手卸のK社が12月末までに代金を一括して支払うという条件を出して合意にこぎつけた。これによって大潟村に加工用もち米を生産する組織(株)利活用秋田が誕生した。
その大潟村も7年産では加工用もち米から主食用うるち米へ転換する生産者が増加、加工用もち米の生産量は4割も落ち込んでしまった。この時、全国米菓工業組合は前年産より約1万円高い2万3500円と言う価格を飲んだにも関わらず、必要量を確保することが出来なかった。
主食用米の価格が高騰して生産が減少したのは加工用もち米だけでなく醸造用好適米(酒米)も減少して、日本の伝統的コメ加工食品業界のすべてが大きな影響を受けた。
富山県はこうしたコメ加工食品業界が原料米高騰で苦しんでいることから「原料米価格高騰対策緊急支援事業」を始めることにした。これは富山県に本社または事業所がある酒、味噌、菓子、もち、米穀粉等の事業者に補助金を支給するという事業で、支給額は酒造用好適米がkg200円、もち米が184円、加工用米が184円になっている。助成総額は3億6500万円で、補助対象量は令和7年9月1日から令和8年3月31日の間に仕入れた令和7年産の富山県産米の酒造好適米、もち米、加工用米のそれぞれの玄米換算購入量になっている。申込期限は1月27日から2月26日までで、27日には説明会を開催している。
加工原材料用米価格高騰を補填するために自治体が国の物価高騰対策の臨時交付金を活用するぐらいなら最初からもち米や酒米に助成措置を講じていれば今日のような不足は起こらなかったはずである。わざわざ恣意的な尺度を用いて転作作物になるもち米を制度的に位置付け、それに助成金を支給するような統制利権を構築するような制度はいい加減止めた方が良い。
令和9年産からはあらゆるコメを生産振興するというのなら目安と言う名の生産調整は必要ないはずで、価格はマーケットに任せ、生産者が持続可能な稲作を営めるよう生産振興助成金を一律に支給する方が健全なコメ産業が育成できる。
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