【2018年JAの米実態調査から】価格・幅広い効果を農薬に期待(2)2018年11月19日
(一社)農協協会では、毎年「JAの安心・安全な米づくりと防除対策について」の実態調査を実施してきているが、その2018年の調査結果がまとまったので、その主要な部分を、米の作付関連(8月30日号)と防除対策(今回)に分けて紹介する。
(調査の概要)
この調査は、水稲作付面積100ha以上の全国566JAを対象に、各JAの水稲関係担当の方(営農・購買)にご回答いただいた。調査方式は、郵送による自記入式アンケート調査で、調査期間は2018年2月16日~5月31日。回答数は506件(回収率89.4%)。
「回答JAの地区別件数」=○北海道=46件(回収率95.8%)/○東日本地区(東北6県、関東7都県、甲信越3県、北陸3県)=218件(回収率89.0%)/○西日本地区(東海」4県、近畿6府県、中国5県、四国4県)=166件(回収率91.7%)/○九州地区(九州7県、沖縄)=76件(回収率89.4%)
(数値は四捨五入の関係で100を超えることがあります)
葉いもち・カメムシ・ノビエ
抵抗性雑草が悩み
表2―1~3は、必ず防除する病害、害虫、雑草について聞いたもので回答の多かった上位項目を表示した。
「病害」(表2―1)では、葉いもちが多く次いで、種子病害が、次いで、穂いもちとなっているが、九州では葉いもち88%、穂いもち85%が他地区より多くなっている。
「害虫」(表2―2)では、斑点米カメムシが圧倒的に多く、全国の水田地帯で大きな悩みとなっていることが分かる。また、イネドロオイムシが北海道85%、トビイロウンカとセジロウンカが九州で各々84%、65%と他地区より高くなっている。コブノメイガも九州で71%と多い。
「雑草」(表2―3)では、ノビエ類、ホタルイ類、クログワイ、コナギなどSU抵抗性でも問題雑草が顔を並べている。北海道では、クログワイ7%、クサムネ2%と少なく、全国平均の上位10位外の、ヘラオモダカ・サジオモダカの42%、シズイ42%さらにミズアオイが67%と多い。また、キシュウスズメノヒエが西日本で34%、九州で31%と多いことも注目される。
増える、ドローン農薬散布
図3は新しい農業用機器として注目されている「ドローン」について聞いたものだ。
ドローンによる農薬散布した農家があるかどうかでは、「散布農家有り」は、全国で24%と昨年よりも増えている。北海道では36%の農家がドローンによる農薬散布を実施している。
そして、今後の「増加の見通し」では、北海道では100%、九州でも85%、東日本で91%など、全国平均で91%のJAが「増加する」と予測している。
水稲除草剤は
初中期一発処理単用で
図4は、水稲除草剤の使用体系について聞いたものだが、「田植同時処理」「田植同時処理以外」を合わせた「初中期一発剤単用」が、全国で50%を占め、西日本、九州では57%、55%と半数を超えている。また、初中期一発剤単用の体系に加え、初中期一発剤と「中期剤」あるいは「後期剤」とを組み合わせた体系も含めると、初中期一発剤が占める割合は、全国で68%と7割近くなる。
ここには示さなかったが、「初期剤に望む」こととして、全国の95%のJAが「価格の安さ」をあげ、次いで「効果の持続期間」93%、「効果のある草種の幅広さ」91%、「水稲に対する安全性」85%をあげている。いずれの項目も各地区で重要だとしているが、北海道では「価格の安さ」が100%、九州では「効果の持続時間」が100%と地区JAの全てから重要だと指摘されていることが注目される。
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