キロ当たり30円~48円の流通経費増 全米販が量販店に米穀流通業界の苦境訴え2023年10月16日
人件費や輸送費、電力代など様々な経費が高騰する中、全米販(全国米穀販売事業共済協同組合・木村良理事長)は10月16日、精米1キロ当たりにかかる流通経費が昨年同期に比べて30円~48円程度増えているとして、量販店など14団体に米穀販売事業者の苦境への理解を求める要請を行ったと、発表した。
状況を説明する全米販の木村良理事長
同日、食糧会館で行った記者会見で木村良理事長は「川上からは上がってくる、川下からは抑えてくれとなると(米卸は事業を)続けられないという話」と述べた。
同団体によると、今年産米をめぐる原料代や流通経費を調査したところ、原料代をはじめ輸送費や電力代、人件費などが前年同期に比べて軒並み上昇し、全体で精米1キロ当たり29.8円~48.4円上昇している、としている。
このうち原料代については、5年産米の価格は農協が農家に提示するいわゆる概算金の上昇で明らかに値上がり傾向にあり、精米1キロ当たりに換算すると前年比で25.5円~42.6円上昇しているほか、輸送費は1.3円~1.7円、電力費は1.0円~1.3円、包装容器代は1.2円~1.6円、人件費は0.8円から1.2円上昇している。さらに地域別最低賃金の目安が今年、過去最大幅で引き上げられ、人材の確保には賃金の引き上げは避けられず、また、輸送費や電力費、包装容器代は高止まりしていて、値下がりする見通しがない、としている。
調査結果(要旨)前年同月に比べ増嵩した幅(同組合調べ)
こうした状況を受けて、同団体は全国スーパーマーケット協会や日本生活協同組合連合会など14団体に、調査結果を添えた文書を届けた。
コスト増に対する取引先の理解は進んでいるか、との問いに対し、木村理事長は「理解は進んでいるが程度の問題はある。特に小袋の販売をするお店では、その品揃えから新米を仕入して値上げもある程度受け入れるので、理解は少しずつ進むと思う」「業務用は分からないが、コンビニは大口の契約をしているので、価格の変動は当面はないのではないか。一方、小袋で販売するスーパーや量販店では、まだ新米のウェートは低いが、今後、売場の店頭価格に反映していくのではないか」と応えた。
同団体が輸送費や燃料費の高騰を受けて、量販店などに理解を求める要請を行うのは、今回で4回目。
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