米:JA全農がめざすもの
【JA全農がめざすもの】第1回 米の販売戦略 岩城晴哉・JA全農常務理事インタビュー2014年6月24日
・消費者の購入行動の変化への対応
・増加が見込まれる業務用需要への対応
・炊飯事業によるビジネスチャンスの拡大
・生産者にも売場にも具体的に提案
・消費拡大はごはん関連業界と連携して展開
・米輸出の拡大
・26年産米の販売対策
・5年後の米穀事業を見据えた改革
農業を取り巻く環境は厳しいものがあるが、そうしたなかでJA全農は、販売から生産資材まで各部署が連携し「全農の総合力を発揮」することで「元気な産地づくりと国産農畜産物の販売力強化」を実現するために奮闘している。
本紙では、さまざまな角度から、そうした全農の取り組みを数回に分けて特集として掲載していく。
その第1回目として、岩城晴哉常務に「米の販売戦略」について聞いた。
生産から販売まで
提案できる総合力を発揮
◆消費者の購入行動の変化への対応
基本的な考え方は、米を取り巻く環境変化に的確に対応しビジネスチャンスを活かすことができるよう全体の戦略を組み立てることである。その概要について述べていく。
国の基本指針によれば米の需要量は790万トン程度で、本会はその内訳を370万トンが家庭用、320万トンが業務用、無償譲渡・自家消費等で100万トン程度と見ており、このうち無償譲渡・自家消費等の100万トンを除いた690万トンが実質的な米のマーケットだと考えている。
そして、370万トンの家庭用のうち、190万トン程度が量販店から購入されており、これまでその次にくるのは生協だと考えてきた。しかし、25年度ではインターネットを利用した購入の割合が10%を超え、量販店に次ぐ購入先にまで成長してきた。こうした変化をビジネスチャンスに結びつけるため、受け皿として本会米穀部に担当窓口、全農パールライス東日本に専任課を設置し、仕入・販売の機能を担う体制を整えている。
◆増加が見込まれる業務用需要への対応
現在320万トンの業務用については、今後さらにウェイトが高まっていき、平成32年頃には家庭用との比率が逆転すると予測している。したがって、業務用への対応にもっと積極的に取り組まなければならないと考えている。
一方で、24年産の価格上昇時には業務用への対応が十分でなかったことが、結果として24/25年の32万トンという大きな需要減少の一因となってしまったとの反省がある。かつて、野菜の加工・業務用への対応が十分ではなかったために輸入野菜に300万トンのパイを奪われたという経験則を踏まえ、国内の水田を守るためにも業務用需要にしっかり対応していかなければならない。そのためには、産地・販売先双方に対する取組みが必要と考えている。
産地に対しては、大規模生産者・法人を中心に、取引先のニーズに合った品質・価格の米を安定的に生産してもらうよう、本会の総合力を発揮して多収穫の品種や低コストな栽培方法を含めた提案を行っていく。また、取引先に対しては、おにぎり、寿司、どんぶり、カレーなどそれぞれの用途に適した品種の米を提案し、産地との安定的な取引を実現していく考えである。
◆炊飯事業によるビジネスチャンスの拡大
現在、JAグループの炊飯事業の拠点は宮城・千葉・石川・高知・大分の5か所であるが、取引先からは「出所が明確で安心」との評価をいただいており、実需者からの期待も高まっていると認識している。こうした流れをビジネスチャンスと捉らえ、自県産米の地産地消や米の消費拡大、JAグループのシェアアップにつなげていく。
すでに取り組まれている事例では、(株)米心石川において、寿司販売店と用途に適した品種の選定や炊飯の方法等を共同研究し、専用品種の契約栽培につなげていく取組みが進行中である。また、今後炊飯製造能力を増強し、新たな炊飯供給ニーズを確実に取り込み炊飯原料を自県産米とすることで、地産地消・消費拡大につなげていく。
◆消費拡大はごはん関連業界と連携して展開
需要が1年で32万トンも激減するなど、米穀事業にとって危機的な状況に直面していると認識している。そうしたなかで、米の消費拡大は、事業面と運動面での取組みが必要だと考えている。
事業面では、精米販売の拡大の先に消費の拡大があるとの考え方で、例えば、パールライス会社の営業担当がおにぎり1個に使用する米の量を40gから45gに増やしてもらうよう取引先と商談する、学校給食に炊飯を供給しているグループ会社の営業担当が学校給食の回数を週1回増やしてもらうよう学校給食会に働きかけるといった展開をしていく。
運動面では、危機的な状況を踏まえ、全中、米穀機構、関係各省庁、炊飯器メーカー等のごはん関連業界と一緒になって取り組んでいきたい。世の中では炭水化物ダイエット等ごはんを食べない方向への力も強いが、ごはんを中心としたバランスのとれた食事が健康によいということを科学的知見も踏まえて世代別に浸透をはかるなど、運動としてどう展開したらよいのか知恵を絞る必要がある。本会は米を取扱う最大の事業者として、こうした運動を一歩前に出て取り組んでいく。
◆生産者にも売場にも具体的に提案
JAグループのパールライスグループ全体で、現状では75万トンの精米を販売しており、26年度はこれを80万トンにする目標を掲げている。そのためには、パールライス会社の営業マンは、産地にも取引先にも相手目線での具体的な提案ができるようになることが重要だ。
産地に向かっては品種や栽培方法等まで理解したうえで、実需者のニーズを的確に伝えて「こういった品種・栽培方法で手取りを確保できるのでは」といった提案を行い生産者とほ場で語りあう。一方取引先に向かっては「あなたの売り場をこうやってもっと活性化します」といった提案を行う。こうして積み上げられた数字は一過性ではない内容のあるものになるはずだ。
こうしたことは、パールライスグループの営業マンのみならず、本所・県本部はもちろん、JAの米穀担当者も含めて今後求められる姿であると考える。もっと現場を歩き、米穀以外の部門の機能・動向を理解し、本音で生産者の手取りアップを提案できるような人材の育成・事業体制を構築しなければならない。
◆米輸出の拡大
シンガポールには約3万人の日本人が生活しており、現地に進出している外食産業からも「日本の米が欲しい」という声がある。
こうしたニーズに応えていくことで、現状では香港、シンガポール、台湾を中心に300トン程度の実績であるが、少なくとも今の倍程度には伸ばしていく考えである。
また、全農パールライス東日本(株)の神奈川工場が中国政府の認可を受けた指定工場になっているという本会の強みを最大限活かして、今後中国向けの輸出に本格的に取り組んでいくことも考えなければならない。
◆26年産米の販売対策
26年産米の販売環境は、今後の生育状況にもよるが、かつてなく厳しいものとなることが想定される。
そうしたなかで、主食用米から飼料用米への切替えによる26年産米の適正生産に向けた取組みの徹底を図っているところである。
また、販売進度が遅れている25年産米の全量契約に取り組むが、それでもなお契約が困難なものについては26年産米の販売に極力影響しない形で古米として販売をすすめていく。
26年産米については、実勢相場を反映した柔軟な価格設定を行うことで取引先の理解を得ながら、収穫前契約を積極的に積み上げていく。
そして、取引先の向こうにいる実需者の事情までわれわれがきちんと把握することが重要であると考えている。
◆5年後の米穀事業を見据えた改革
昨年11月、国は米政策の転換の方針を決定し、新たな米政策の定着を5年間を目途にすすめることを決めた。本会は、国の政策体系に即した国内生産の維持・拡大に取り組むとともに、精米販売の拡大をすすめていくことが稲作経営の安定に資するものと確信している。
今後、県域共同計算を中心とした現行の集荷・販売方式等、見直しが必要な事項が山積しているが、これを5年間の農協改革集中推進期間に合わせるのではなく、前倒しして3年間完結で事業を立て直す考えである。
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