米:CE品質事故防止強化月間
【現地ルポ JA兵庫南・稲美CE】集荷推進 安定供給の要に おいしく、安全管理心掛け(2)2025年8月29日
米穀の集荷・販売の拠点施設であるカントリーエレベーター(CE)では、ほどなく1年で最も多忙な米の収穫期を迎える。全国CEの管理・運営改善に取り組む全国農協カントリーエレベーター協議会、JA全農、公益財団法人農業倉庫基金の3団体は、毎年8月1日から10月31日までの3カ月間を「米のカントリーエレベーター品質事故・火災防止強化月間」と定め、品質事故と火災防止の徹底を呼びかけている。この取り組みの一環として、今回は、JA兵庫南の稲美CE(兵庫県稲美町)を取材した。
稲美CEのスタッフのみなさん
品位守る現場の工夫
役職員で管理徹底
衛生管理については、「JAグループと農倉基金が作成した衛生管理マニュアルを基本に徹底しています。品質管理についても冬場のサイロ替えローテーションを徹底しながら、穀温管理に気を配っています。管理簿を毎日つけ、月1回、経済常務も確認します。穀温管理表もつけ、異変に気付いた時点ですぐサイロ替えローテーションをします」と説明する。「マニュアルは基本」なので、その上に「現場の工夫」を重ねる。農倉基金の研修会などで学んだことや他のCEのすぐれた事例を聞くとすぐに採り入れ、カスタマイズしているという。
冬場のサイロ替えローテーションでは、外気温ともみの温度の差が5度くらいまで広がると(一般的には10度と言われているが、JA兵庫南ではより厳しく管理しているとのこと)結露を起こし異臭米等事故米の発生につながるため、サイロ替えローテーションをしている。「お米は生き物であり、穀温が2~3日で1度上がるのは発酵が始まるサインです。そうならないように、0・5度でも変化があればすぐ対応し、外気温との差をチェックしています。事故を起こすと利用者にご迷惑をおかけしますし、JAの信用にも関わります。お米は私たちのものではなく農家から預かっているものなので、徹底的に注意しています」。衛生管理、品質管理は必須であり、現場での手順漏れがあればすぐに指導や注意することを徹底している。
穀温は毎日記録しグラフにして把握する
堀内副課長の持論は「荷受けするお米は毎年違います。だから私たちオペレーターも毎年一年生の気持ちで向き合う」とのことだ。稲美CEのスタッフたちは、謙虚な気持ちで手塩にかけた大切な米と向き合い、神経を使って仕事にあたる。
過剰荷受け対策では、稲刈りのピーク時には地区ごとに荷受け日を決める地区割をしている。また、生産者の電話番号末尾の奇数偶数を使って荷受け日を振り分けている。そうした事前調整に加え、「過剰荷受けとなった時はいったん荷受けを止めるか、翌日の荷受けを休み、受け入れた生もみの乾燥を進める」との方針も生産者へ伝えている。
実際、過剰荷受けが発生した場合には、翌日の荷受けを止めることを実践している。稲刈りを予定していた農家から怒られることもあるが、「無理に荷受けして事故を起こし迷惑をかけたくない。今預かっている米をしっかり乾燥してから、次の米を荷受けします」と丁寧に説明すると、わかってもらえる。荷受けカレンダーにあらかじめ荷受けをしない調整日を入れておき、荷受けを休んだ場合には調整日を解除することで対応している。
実地に近い防火訓練
火災防止では、年1回、防火訓練をしている。訓練では、消火剤の替わりに水が出る訓練用の消火器を消防署から借り、実地に近い訓練に努めている。
「SDSのCEは、もみ殻の乾燥以外、火力を使いません。火元は限られていますが、まず火災を防ぐという意味で、できる限りのことを行うようにしており、もみ殻を乾燥させるバーナーと集塵装置の点検をすごく意識しています。SDS施設は火力乾燥の施設と比べほこりが多いのですが、普段から清掃を徹底し、ほこりを除去することで火災の発生確率が減らせます」と言う。日頃からの管理の徹底が防火にもつながる。
随所に創意工夫が
稲美CEの山本史功所長は「このCEでは常勤が7人で、繁忙期には最大10人で運営しています。荷受けの時期はシフトを組み、24時間体制で対応しています」と説明した。
堀内副課長の案内でCE構内を回ったところ、随所に工夫が見られた。
たとえば集塵ダクトにはダクト1本に1カ所穴を空け、普段は閉じておく。清掃時は、その穴からエアガンを差し込んでエアを送り、反対側で吸い込んでチリやほこりをきれいに排出する。
ダクトに清掃口を設置。エアガンで空気を送って塵を除去する
もともとハシゴしかなかった集塵機には、安全に昇降し作業ができるよう、地元の工務店に頼んで階段と踊り場(作業スペース)を設置した。「研修会で転落事故の事例を聞き、ハシゴや作業中の転落を心配しました。階段等の設置に費用はかかりますが、人の命には代えられません。安心して作業できるスペースがあれば故障修理や点検等の際の作業効率も上がります」と話す。
使わなくなった冷蔵庫をペンキ保管に再利用(左)、作業の安全と効率のため集塵機脇に設置した階段と踊り場
部署間で経験を共有
業務引き継ぎでの重点事項や人材育成については「当JAはCEオペレーターを大事にしています。CEの業務は特殊なので、他の分野への異動は少ないです」という。ただ、培った経験を生かせるよう稲美CEから八幡CEに行ったり、志方ライスセンターに行ったり、といった米麦関連部署間での異動はある。
また、施設ごとに繁忙期がズレていることを利用している。麦の荷受け時に育苗センター職員が稲美CEに来て荷受け作業を行ったり、逆に稲美CEの職員が育苗センターに応援に行くようにした。「そうすることで短期間に経験を積ませ、どこに行ってもその施設を扱えるオペレーターの育成をめざしています。他施設の予備部品等在庫も把握できるので、緊急修理等の発生時に予備部品等がどこにあるか気づいて早期対応することが可能となり、品質事故等の防止にもつながります」
「私たちは毎年一年生」という姿勢で預かりものの米と向き合い、常に安全と効率化を考えながら改善を重ねる。米の安定供給は、こうして支えられている。
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