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【8月牛乳値上げ影響】販売は2週連続前年割れ 200円以下ほぼ消える2025年8月18日

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Jミルクは14日、最新の需給週報(8月4日~)を発表した。8月からの牛乳値上げの影響が表れ、販売個数は2週連続の前年同期割れとなり、今後の生乳需給は不透明感を増す。量販店の動向を取材すると、牛乳価格(約1リットル)は10円から20円程度値上がりし、200円以下の格安牛乳はほぼ姿を消した。一方で大手乳業と中小の価格差は依然大きく、両極化が進む。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)

写真=大手乳業NB牛乳が300円に迫る一方、価格差は写真=大手乳業NB牛乳が300円に迫る一方、価格差は"両極化"したままだ(8月15日、首都圏スーパーで)

■牛乳類前年度96%に
8月1日から飲用向け生産者価格キロ4円値上げに伴う、小売価格の価格改定が始まった。最新の影響は8月4日から10日までの1週間のJミルク需給週報で分かった。

牛乳類の販売個数は前年度同週対比で96%と、2週連続で前年実績割れとなった。前回調査(7月28日~8月3日)は、価格改定時期が一部だったために明確な傾向が分からなかったが、今回の調査で需要低迷が鮮明となった。米価をはじめ食品全般が上がっており、今回の牛乳値上げの消費減退の影響を最小限にとどめる努力が必要となる。

牛乳類4品目のうち、前年度対比で牛乳は2週連続、乳脂肪率などを一定とする成分調整牛乳は3週連続のマイナス。価格改定の影響から、先週の前回調査に比べ減少幅が大きくなっている。加工乳は割安感から減少幅がやや改善した。消費者が価格水準に敏感となっている表れだ。

◇直近の牛乳類動向
・週の区分 7月7日~ 7月14日~ 7月21日~ 7月28日~ 8月4日~ 
・販売個数 102.5  95.3  100.1   98.5   96.0
・販売価格 216.0 216.1  216.5   218.1  224.9
・牛乳単価 224.7 225.0  225.3   226.8  233.8
※週単位、販売個数は前年度同期対比%。販売単価は1パック(約1リットル)週平均、単位は円

■量販店売り場は10~20円上げ
問題は販売個数と共に価格水準の動向だ。いくら飲用乳価が上がっても、最終的に乳業からスーパーへの納入価格が連動して引き上げられ末端小売価格まで、ミルクサプライチェーン全体で値上げが浸透しないと、早晩、ひずみが出る。巨大スーパーのバイイングパワーで値上げ幅が抑え込まれると、今後の生産者価格の抑制や引き下げにもつながりかねないからだ。

Jミルク調査では、今回の牛乳単価は233.8円。前回(7月28日~)の226.8円から確実に引き上がり、230円台に乗った。
量販店売り場を取材すると、一部店舗を除き200円以下の牛乳はほぼ姿を消した。Jミルク調査では平均で1リットル7円上げとなっているが、これは価格差が大きいからだろう。最低でも10円、最大で20円程度上がっているようだ。特に週末の特売でその傾向が強い。

ただ、牛乳価格は原価水準をもとに、基本的には需給で上下する。需要が堅調なら価格は高値安定するし、低迷すればメーカー間の納入競争が激しくなり拡販のため徐々に下がり始める。今後の価格動向に注視したい。

■改正畜安法で価格差100円の"両極化"
8月中旬時点で、スーパー牛乳売り場からほぼ200円以下の格安牛乳が姿を消し、大手乳業NB(ナショナルブランド)牛乳は299円など300円の大台に迫っている。

一方で、首都圏スーパーを取材すると最安値は首都圏中心に低価格大手スーパーを展開するオーケーの198円。イオン系も一部197円で扱う。同じ牛乳で100円もの差がついているのが実態だ。オーケーは指定団体ホクレンを経由しない北海道根室管内の非系統生産者グループから原乳提供し神奈川の中小乳業が製造する牛乳が198円と最安値をつける。ただ、飲用乳価改定の7月段階よりも10円上がった。

明治主力商品「おいしい牛乳」を筆頭に雪印メグミルク、森永、赤パックの「農協牛乳」など主要メーカーの製品がメインの棚から外され、代わりに中小乳業メーカーの牛乳や、低脂肪牛乳、加工乳、乳飲料などが目立つ。

度重なる飲用乳価引き上げに連動し大手メーカーの牛乳末端小売価格は1リットル当たり250円以上、場合によっては300円近くに上がっている。一方でメインの棚には価格を抑えられる同200円以下の低脂肪、乳飲料などが並ぶ。特売の形で220円前後の特定中小乳業の製品も目立つ。

200円前後の格安牛乳は、かつて「アウトサイダー」と呼ばれ改正畜安法で「二的出荷」が認められたこともあり拡大する系統外の原乳を使用したものが増えているのが実態だ。農水省の正式見解は企業努力と販売方針としているが、それで末端小売価格が5割も違うのは理解が難しい。非系統は飲用牛乳偏重で販路確保最優先へ原乳価格、そしてスーパーへの納入価格それぞれが低水準で対応しているとの見方が強い。その結果、95%超あった指定団体生乳共販率は下がり続け9割ラインに近づいている。

具体的には、年間18万トンを扱うMMJを筆頭に、自主流通とされる非系統業者の生乳取扱数量は50万トンの大台に迫っている。この数量は東北や九州の酪農主産地の指定団体集乳量に近い。非系統の生乳道外送りは2024年度に30万トン超に達したと見られている。

系統外の「受け皿」も徐々に拡大し岐阜県の東海牛乳は牛乳製造ラインを大幅拡充し本格稼働した。同社は系統外の最大の受け入れ乳業で、生産は倍増を見込む。MMJは加工施設を建設し飲用牛乳需要の季節別変動に備える。一方で非系統拡大に伴うリスクも増す。当該牛乳は風味異常から今春、大量の自主回収に追い込まれた。持続可能な酪農経営のためにも、価格、数量、品質で安定的な取引を担保する仕組みが整う指定団体ルートの維持・拡大が改めて問われている。

■需要拡大が最大課題
今回の8月飲用牛乳上げは、夏場の生乳需給ひっ迫とコンビニエンスへの価格改定対応が大きい。

25年度乳価交渉は、早い段階から生処双方とも「乳価引き上げ」方向では一致していた。問題はいつから、いくらの値幅とするか。関東生乳販連が交渉決着を正式発表したのは3月30日と年度末ぎりぎりのタイミング。最終調整が難航したことが、新年度当初の4月からではなく数カ月遅れの原乳からの引き上げとなった。

いつ、いくらは、いくつかの選択肢が出ていた。関係者によると、早いのは6月上げ、次いで7月キロ3円、8月キロ4円など。最大手・明治が主導したが、「牛乳販売シェアが高まっているコンビニエンスストアの末端小売の値上げが浸透するまで3カ月程度かかる」と説明したと言う。当然、乳価引き上げはやむを得ないにしても、開始時期を遅らせた方が乳業メーカーの財源負担も軽減されるとの判断も働いた。
最終的に、夏場の需給ひっ迫期で需要が強い8月からキロ4円で最終合意となった。

生産者価格キロ4円上げは、販売業者、物流、諸経費などを加えると、消費者への末端小売価格は1リットル当たり10円から20円程度の値上げとなる。最終的には、小売り各社の営業戦略や各店舗の判断となる。

飲用乳価とは別に、ホクレンは6月から乳製品向け乳価を引き上げた。過剰の脱脂粉乳はキロ3円、引き合いが強いバターと生クリームは+7円の10円上げで乳業メーカーと決着している。

25年度は、2030年までの今後5年間を展望した新たな酪農肉用牛生産近代化基本方針スタート。乳価上げで、新酪肉近は酪農家の所得増加を踏まえた始動となった。

一方で、今後は牛乳需要拡大が最大の課題となる。

いくらキロ当たりの乳価が上がっても、小売価格上げで飲用牛乳需要が低迷すれば、用途別需給調整で乳価が低い加工比率が高まり、プール乳価が下がる。結果的に手取り乳価が伸びないことにもなりかねない。酪肉近でも、最大のキーワードは「需要拡大」。それを踏まえた収益性向上と生産拡大だ。

今回のキロ4円乳価上げは、脱粉過剰や牛乳需要低迷の中、手放しで喜べる情勢にない。早速、酪肉近のテーマ「需要拡大」の宿題を、酪農・乳業界挙げて着実に取り組むことを迫っている。

■発酵乳低迷に懸念
牛乳価格改定に伴う前年度同期の販売個数96%の中で、生乳需給の行方は一段と不透明となっている。飲用牛乳の需要低迷の一方で、猛暑で生乳生産が一気に落ち込んでいるためだ。全体生産の6割近い北海道の動向が大きな焦点となる。

生乳需給の直近の課題は半月後に迫った9月の学乳再開に伴う最需要期への安定供給。これに、非系統道外送りの取り扱い乳量が増えている中で、ホクレンが円滑に対応できるのか。

さらには、今回のJミルク調査で発酵乳の需要低迷も明らかになっている。脱脂粉乳の過剰在庫処理が酪農乳業界の当面の最大課題だ。脱粉需要に直結する発酵乳、主にヨーグルト消費拡大を業界挙げてどう成果を上げていくのか。酪農乳業界は現在、猛暑に負けない体づくりへ牛乳とヨーグルトの効能を前面に出した需要拡大に取り組み中だ。

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