国産濃厚飼料の増産を-飼料増産シンポ2017年4月14日
飼料自給率向上と水田フル活用
農林水産省と(一社)日本草地畜産種子協会は4月13日、東京・霞ヶ関の農水省で「飼料増産シンポ-国産濃厚飼料の可能性を探る」を開き、全国の優良事例が発表された。
農林水産省は平成27年3月策定の「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」に即し、全国の関係機関と連携して飼料増産運動を進めてきた。3年目となる29年度は利用拡大をめざして国産濃厚飼料増産にも重点をおいており、シンポジウムでは全国の優良事例が報告された。
わが国の飼料需要量は2400万tだが、そのうちの1000万tはトウモロコシで輸入に依存している。濃厚飼料の自給率はわずか14%。わが国の畜産生産は飼料原料穀物の国際相場に翻弄されているといえるので、この状況から脱却するため濃厚飼料の増産が求められている。
※
シンポジウムでは北海道美瑛町のTMRセンター、(有)ジェネシス美瑛の浦敏男代表取締役社長が「イアコーン生産による飼料自給率の向上」について報告した。同社では飼料用トウモロコシをマルチ栽培で集約的に栽培している。面積は28年で250ha。イヤーコーンサイレージの通年給与によって、年1300万円の購入飼料費が節約できたと同時に高水準の乳量を維持しているという。飼料自給率は50%台から70%台へ上昇、将来は80%以上をめざす。イヤーコーンの自給飼料で生乳を生産していることをソフトクリームや、ヨーグルト加工でもアピールして6次産業化にもつなげている。雑草対策によるトウモロコシ収量の向上、大豆、ナタネなどのタンパク飼料の確保などを今後の課題としている。
※
北海道長沼町の北海道子実コーン生産組合の柳原孝二組合長は「水田における子実とうもろこし生産」について報告した。同組合は子実コーンをホクレンや道内の牧場、さらに国産食用コーンを求める食品企業に供給している。
連作障害が回避できることや、需要が多いため栽培拡大が可能で労働時間も米、麦、大豆を大きく下回るという栽培上のメリットを強調した。北海道の15ha以上層の飼料用米労働時間は10a当たり13.8時間だが、子実トウモロコシはわずか1.5時間。生産費は同約3万円で水田活用交付金10a3万5000円でまかなうことができる。
飼料自給による大幅な食料自給率の向上や遊休農地の活用など多くのメリットがあり、柳原組合長は「戦略作物としての明確な位置づけが必要だ」などと強調した。
※
そのほか、JA真室川町から「籾米サイレージの製造・販売」と農事組合法人花房牧場の「食品残さなどの地域資源を活用し地域に根ざした肉用牛経営」が報告された。
JA真室川町の籾サイレージの製造では、消化性が高く飼料摂取量が増加する傾向があることや、一方で多給してもアシドーシスになりにくいことなど配合飼料より優れている面や耕畜連携が積極的に進む点などの効果を指摘した。
重要な記事
最新の記事
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(1)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(2)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(3)2025年9月18日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
「いざ土づくり!美味しい富山を届けよう!」秋の土づくり運動を推進 富山県JAグループ2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日