切り花購入先の変化から見える花屋とスーパーの拮抗とマーケットの縮小【花づくりの現場から 宇田明】第82回2026年4月2日
前回は、総務省の家計調査から、花の消費の厳しい現実を紹介しました。
今回は、同じく総務省の5年ごとの調査である全国家計構造調査から、消費者の花の購入先の変化を検証します。
当コラム第10回では、2019年までのデータをもとに、切り花の購入先が「花屋からスーパーへ」と変化してきたことを紹介しました。
1994年に71%(金額ベース、以下同じ)を占めていた花屋は、2019年には34%にまで低下しました。一方、スーパーは16%から39%へと伸び、両者のシェアは逆転しました。
このまま進めば、野菜が八百屋からスーパーへと主役を移したように、花屋も消えていくのでしょうか。
そうはなりません。
花には日常の家庭需要だけでなく、業務需要があります。
新装開店の花輪、お祝いの花束、ホテルやイベントの装飾、冠婚葬祭など、非日常の場面で使われる花は、花屋でなければ担えません。
花屋は単なる小売業ではなく、デザインと技術を備えた専門職だからです。

このことが、2024年の調査でより明確になりました(図)。
花屋は下げ止まり、スーパーは伸びが鈍化し、両者は拮抗しています。
花屋は37%と、2019年の34%からやや持ち直しました。
一方、スーパーは38%で、前回の39%から足踏み状態です。
野菜のように、スーパーが花屋を駆逐する構造にはなりませんでした。
なぜでしょうか。
スーパーは、日常の家庭需要である仏花などの取り込みに成功しましたが、その多くは低単価商品であり、金額ベースでの拡大には限界があります。
さらに、その家庭需要自体も広がりを欠きつつあります。
それに対して、花屋は購入頻度こそ高くありませんが、ギフトなど高品質・高価格の需要を維持し、一定の存在感を保っています。
両者は競争の結果ではなく、用途によってすみ分けることで均衡に至ったといえます。
そして2024年のデータが示す、より重要な変化は別のところにあります。
それは購入先ではなく、需要そのものの縮小です。
前回(第81回)で紹介したように、切り花の購入世帯率は低下し、「花がなくても困らない」と考える人が増えています。
実際、購入世帯率は2000年の41%から2025年には28%にまで低下しました。
つまり、花屋とスーパーが競い合っているマーケットそのものが縮小しているのです。
こうして見ると、1994年から30年間の変化は三段階に整理できます。
第一は「花屋中心の時代」、第二は「スーパーの拡大による逆転」、そして第三が現在の「拮抗と縮小」です。
この段階では、どちらが優位かを論じる意味は薄れています。
問題は「どこで買うか」ではなく、「買う人が減っている」ことに移っています。
すなわち、いま問われているのは購入先ではなく、需要そのものです。
花産業に必要なのは、花を買う習慣そのものを取り戻すことです。
「需要創造なくして回復なし」です。
重要な記事
最新の記事
-
ウコギ・タラノキの芽【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第382回2026年4月2日 -
切り花購入先の変化から見える花屋とスーパーの拮抗とマーケットの縮小【花づくりの現場から 宇田明】第82回2026年4月2日 -
「食育実践優良法人2026」333法人を初認定 農水省2026年4月2日 -
空輸便でお届け「博多あまおう×抹茶フェア」全農直営飲食店舗で開催 JA全農2026年4月2日 -
「2027年国際園芸博覧会」JAグループの特設サイトを公開2026年4月2日 -
神明「玄米ヨーグルト」「玄米シュレッド」パッケージをリニューアル2026年4月2日 -
食事とおやつのハイブリッド米菓「ほぼメシ石焼きビビンバ風味のおこげせん」新発売 亀田製菓2026年4月2日 -
近畿ろうきん 特別金利預金を拡充 契約者の配偶者や子どもにも上乗せ金利を適用2026年4月2日 -
外食市場調査 前年比96.5%2か月連続で前年比マイナス 消費マインドの冷え込み心配2026年4月2日 -
バイオスティミュラント「杉山水」高温ストレス耐性の向上を確認 飛騨産業2026年4月2日 -
JAグループによる起業家育成プログラム「GROW&BLOOM」第3期募集開始 あぐラボ2026年4月2日 -
「JAcom」を4月8日全面リニューアル 農業・農協の情報をより分かりやすく 探しやすく2026年4月1日 -
【人事異動】農水省(4月1日付)2026年4月1日 -
【人事異動】農水省(3月31日付)2026年4月1日 -
【スマート農業の風】(25)環境配慮型農業との融合2026年4月1日 -
首相はウィーン条約をご存知か【小松泰信・地方の眼力】2026年4月1日 -
【JA人事】JA氷見市(富山県)新組合長に浮橋勉氏(3月24日)2026年4月1日 -
全国の総合JA数 490に 4月1日2026年4月1日 -
【JA人事】JA成田市(千葉県)新組合長に岩館秀明氏(3月25日)2026年4月1日 -
4月の野菜生育状況と価格見通し キャベツ、レタスの価格は平年を下回って推移 農水省2026年4月1日
































